肩がこらない、腕が疲れない、ブレないポインティングで作業効率があがるなど、トラックボールにはメリットがたくさんあります。
しかし、使ってみたいとは思っていても、どのモデルを選べばいいか分からない方も多いでしょう。
そこで、家電ライターの藤山哲人さんに、トラックボールの選び方のポイントやおすすめ商品を伺いました。
意外と知らないメンテナンス方法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- トラックボールとは?
- マウスとの違い
- トラックボールのメリットとデメリット
- トラックボールの仕組み
- 「小球」による支持
- 「ベアリング」による支持
- トラックボールのタイプ
- 親指操作タイプ|マウスの操作性に慣れ親しんだ方におすすめ
- 人差し指操作タイプ|カーソルをより幅広く繊細に動かしたい方におすすめ
- 手の平操作タイプ|よりダイナミックに操作したい方におすすめ
- ガンタイプ|会議室や家のリビングで空中操作したい方におすすめ
- トラックボールの選び方のポイント
- ケーブルの有り無し
- ボタンの数
- DPI/CPIの数値
- トラックボールおすすめ20選|家電ライターと編集部が厳選してご紹介
- 親指タイプのトラックボールおすすめ6選
- 人差し指タイプのトラックボールおすすめ4選
- 左利きタイプのトラックボールおすすめ2選
- センタータイプのトラックボールおすすめ2選
- ガンタイプのトラックボールおすすめ4選
- キーボード一体タイプのトラックボールおすすめ2選
- トラックボールのメンテナンス方法
- ボールや支持球の掃除
- ボールに潤滑油を塗る
- ボールの交換
- まとめ
トラックボールとは?
トラックボールとは、本体を動かすことなくボールのみを指で転がし、画面上のポインター(カーソル)を動かしてパソコンを操作するポインティング・デバイスのことです。
本体にはボールのほかに複数のファンクションボタンが装備されているため、ポインターの移動だけでなく、クリックやスクロールも自由自在です。
コピーやペーストなどの機能をボタンに割り当てることもできるので、うまく使いこなせば作業効率が格段にアップします。
マウスとの違い
マウスは本体自体を動かしてポインターを操作しますが、トラックボールは本体を一切動かすことなく、画面の端から端までポインターを滑らかに移動させることが可能です。
マウスは、クリックする瞬間にポインターがズレてしまうことがありますが、トラックボールはボールから指を離せば焦点がずれないため、デザインなど細かい作業やシューティングゲームに向いています。
ワイヤレスタイプはひざの上でも操作することができ、リビングや寝室など日常の様々なシーンで活用できます。使う場所を選ばない利便性の高さが、マウスと大きく異なる点です。
トラックボールのメリットとデメリット
トラックボールのメリットとデメリットは以下のとおりです。
- 指を動かすだけなので、肩や腕が疲れにくい
- 本体を動かさないため、省スペースで使用できる
- 指さえ動かせれば、どこでも使用可能
- 大画面モニターを使う際、ポインターの移動がスムーズ
- マウスに比べて静音性が高い
- 操作に慣れるまでに多少時間がかかる
- 大型のものは、持ち運びに不便
- ボールの可動が悪くならないようメンテナンスが必要
- マウスに比べてバリエーションが少ない
トラックボールの仕組み
トラックボールは、本体から露出しているメインボールを内部の3点の支持パーツで支えています。
その回転を検出してポインターを正確に動かす構造で、内部の支持パーツには「小球タイプ」と「ベアリングタイプ」があります。
「小球」による支持
回転ノイズが発生しにくく、安定性の高い滑らかな動きが特徴です。
一方、磨耗しやすいデメリットもあるため、最近のトラックボールは支持球に硬度の高い人工ルビーが多く使われています。
「ベアリング」による支持
ゴロゴロといった回転感がマニアの間で支持されいるものの、ゴミが詰まりやすく壊れやすいといったデメリットもあります。
摩耗耐性は高いのですが、現在では市場にあまり流通していません。
トラックボールのタイプ
メインボールをどの指(手のどの部分)で操作するかによって、デザインも操作方法も大きく異なります。
使う指によっては疲れにくさやカーソルの移動範囲にも差が出ますので、違いをよく見極めて購入しましょう。
親指操作タイプ|マウスの操作性に慣れ親しんだ方におすすめ
マウスからトラックボールになるべくスムーズに移行したい方は、メインボールが親指側に配置されている親指操作タイプがおすすめです。
左右のクリックボタンとホイールの位置が一般的なマウスとほぼ同じで違和感なく使えるため、トラックボール初心者に向いています。
使い始めは親指を酷使するため、慣れるまで辛抱強く使いましょう。
人差し指操作タイプ|カーソルをより幅広く繊細に動かしたい方におすすめ
大画面でポインターを大きく動かしたい方は、メインボールの配置が中心寄りの人差し指操作タイプがおすすめです。
指先に近い感覚で繊細に操作することができるため、細かい作業に向いています。
人差し指だけではなく中指も使えるので、指への負担が軽く済みますが、左クリックの機能が親指側になるので、慣れるまでに時間がかかります。
ボタンが左右対称に配置されているモデルは、左利きユーザーも使用可能です。
手の平操作タイプ|よりダイナミックに操作したい方におすすめ
ポインターを画面上で縦横無尽に動かしたい方は、ボールを手で覆うように操作する手の平操作タイプがおすすめです。
ボールの周囲にボタンを配置しているため、最初は操作に戸惑うこともあります。形が最も個性的なので、上級者向けのトラックボールといわれています。
ガンタイプ|会議室や家のリビングで空中操作したい方におすすめ
手の平で本体を握り親指でボールを操作するガンタイプは、ビジネスシーンだけではなくご家庭でも活躍します。
空中操作ができるので、プレゼンテーション時のスライドショー操作や、テレビで動画配信サービスを利用する際のリモコンとして使用可能です。
ポケットに入れられるサイズのため、持ち歩き時にもストレスを感じさせません。
トラックボールの選び方のポイント
トラックボールを触ったことがない方でも自分に合ったベストな商品を選ぶことができるよう、購入前にチェックしておくべきポイントを藤山さんに伺いました。
藤山 哲人
家電ライター
トラックボールは、まず、使う指を基準に選びます。
そして、デスクの上がごちゃごちゃしているなら「ワイヤレス」、キレイに整っているなら「ワイヤレス」でも「有線」でもどちらでもOKです。デスク上に全くスペースがない方は、空中操作ができる「ガンタイプ」がおすすめです。
ケーブルの有り無し
デスク上などで固定して使用する際は、ケーブルさばきが必要なマウスと違い、トラックボールはケーブルの有無による操作性の差はほとんどありません。
しかし、ワイヤレス向きの場所や、有線向きの用途もあるため、以下のポイントをしっかり把握しておきましょう。
ワイヤレスタイプ|使用場所を選ばず机の上がスッキリする
デスクの上をスッキリさせたい方は、ケーブルのないワイヤレスタイプがおすすめです。
ワイヤレスなら、デスク上だけではなくソファに座った状態のひざの上や寝室など、シーンを選ばず使用できます。
USB式は、操作先の端末にレシーバーを差し込む一般的な接続方法です。レシーバーがかなり小さいため、トラックボールを持ち歩く機会が多い方は本体にレシーバーを収納できるかどうかをチェックしておきましょう。
Bluetooth式は、レシーバーが不要で、初回のみペアリング設定すればあとは無線で使用できる接続方法です。ノートPCなどUSBポートが少ない端末は、Bluetooth式を選ぶと便利です。
有線タイプ|タイムラグの生じないスムーズな操作性が魅力
ケーブルを使用して操作する有線タイプは、バッテリーの消耗を気にすることなく連続使用できる点がメリットです。しかし、トラックボールはバッテリーの消耗がそもそも少ないため、そこまで気にする必要はないでしょう。
ケーブルの有無で操作性に大きな差はありませんが、ゲーミング用途で使用する場合は、コンマ1秒の操作が的確に行える有線タイプがおすすめです。
特にBluetooth接続だと信号の混線やタイムラグが発生することがあるため、ゲームの際、シビアな局面でストレスを感じてしまうかもしれません。
ボタンの数
トラックボールは、ボタンにショートカットキーをカスタマイズすることが可能です。
ゲームで使用する場合はボタンが4つ以上あるものを選び、複雑な操作をボタンに設定しておけばゲームを有利に進めることが可能です。
DPI/CPIの数値
DPI(Dots per Inch)CPI(Count per Inch)とは、解像度(分解能)を表す単位(マウスのカーソル速度を表すもの)のことです。
DPI(CPI)の数値を変えられるモデルを選べば、カーソルを画面全体に動かす必要があれば速度を速く、デザイン作成などで細かく動かすなら速度を遅くなど、自分好みに設定できます。
トラックボールおすすめ20選|家電ライターと編集部が厳選してご紹介
ここからは、トラックボールのことを知り尽くした専門家・藤山さんと編集部のおすすめ商品をタイプ別にご紹介します。
親指タイプのトラックボールおすすめ6選
一般的なマウスと指の配置が似ている親指タイプは、トラックボール初心者におすすめです。
藤山 哲人
家電ライター
親指タイプのトラックボールのなかで、一番のおすすめです。ボディの角度が変えられる唯一のモデルです。
手が疲れにくいのはもちろん、バッテリーの持ちも良く経済的です。互換性の高い34㎜玉を使用しているので、ボールだけの交換も可能です。
藤山 哲人
家電ライター
トラックボールを使ったことがない方に最適なエントリーモデルです。ロジクールなので使用感は申し分なく、価格も安いのでコストパフォーマンス抜群です。
トラックボールを試しに使ってみたいなら、このM570Tがおすすめです。
人差し指タイプのトラックボールおすすめ4選
やや難易度の高い人差し指タイプは、使える指が多いため慣れれば操作性が格段にアップします。
疲れにくいので、長時間のパソコン作業が多い方におすすめです。
藤山 哲人
家電ライター
マイクロスイッチの最高峰といわれる、オムロン製の高耐久性スイッチを使用しています。
何十万回押しても問題ないほど耐久性が高く、クリックした際のカチカチッというハマりの良さもポイントです。トラックボール愛好家に高く評価されているモデルです。
左利きタイプのトラックボールおすすめ2選
かなりレアですが、左利き専用のトラックボールもあります。右利き用の商品で苦労している方はこちらの商品に変えると快適に操作できるでしょう。
藤山 哲人
家電ライター
右手用のマウスやトラックボールを仕方なく使用している左利きの方が多いと思います。このモデルはレアな左利き専用モデルなので、苦労している方は試してみる価値があります。
センタータイプのトラックボールおすすめ2選
ダイナミックにカーソルを動かしたい方は、上級者向けのセンタータイプがおすすめです。
マウスと使用感が異なるため慣れるまでに時間がかかりますが、もっとも自由度が高く、スピードのある操作性を感じることができます。
サイズが大きめなので、設置場所に十分余裕があるか確認してから購入しましょう。
藤山 哲人
家電ライター
老舗メーカー・Kensington社製のトラックボールは、世界中に愛用者がいる信頼できる商品です。
手の平タイプなので操作が難しいですが、慣れれば他のトラックボールにはないダイナミックな使い心地が病みつきになります。
ガンタイプのトラックボールおすすめ4選
トラックボールの新しい使い方を実現した、空中操作が可能なグリップタイプです。
会議ではプレゼンテーションのツールとして、ワイヤレスタイプならリビングでリモコン代わりになど、さまざまなシーンで活躍します。
藤山 哲人
家電ライター
デスクの上が書類の山積みで、トラックボールを置くスペースがない時は、ガンタイプのトラックボールが大活躍してくれます。
クリックがトリガー式なので操作が楽しく、見た目以上に使い勝手抜群です。購入しやすい価格もうれしいポイントです。
キーボード一体タイプのトラックボールおすすめ2選
マウスとキーボードが一体となったタイプなら、より狭いスペースで作業することができます。
キーボード入力とトラックボールの操作をよりスムーズに行うことができ、手の移動が最小限で済むため疲れが軽減します。
トラックボールのメンテナンス方法
トラックボールの操作性の要となるメインボール部分は、ほこりやゴミがたまりやすいので要注意です。
特に支持球にゴミや手垢が付着すると摩擦が大きくなり、メインボールを転がすのに必要以上の力が必要になってしまいます。
故障の原因にもなるため、定期的にメンテナンスをしましょう。
ボールや支持球の掃除
ほぼ全てのトラックボールは、メインボールが簡単に外れるように設計されています。
長期間使っているとボール表面に手垢などの微細な汚れが付着するため、ウェットティッシュやアルコールスプレー+ティッシュで拭き取りましょう。
メインボールを外すと内部に支持球が見えるので、この部分も数日に1回ティッシュや布でサッと軽めに拭き掃除します。このひと手間で、滑らかな回転が長く持続します。
ボールに潤滑油を塗る
トラックボールをアルコールで拭きすぎると、油分が完全に取れてしまう場合があります。そうすると回転が悪くなり、支持球が摩耗することもあります。
そんなときは、ホームセンターなどで売っている潤滑スプレーをティッシュに吹きつけ、ボールの表面に薄く塗り、その後別のティッシュで油を拭き取ればOKです。
スプレーによっては素材が劣化するものもあるので、購入の際はスプレーのラベルにしっかり目を通しておきましょう。
ボールの交換
メンテナンスの際は、ボールの取り扱いに注意しましょう。うっかり落として1箇所でもメインボールに傷が入ってしまうと、滑らかな回転は二度と取り戻すことができません。
もしボールに傷がついた場合は、ボールの交換が必要です。ボールはメーカーが違ってもサイズが同じなら互換性がある場合が多いので、トラックボールそのものを買い替えるよりも安く済みます。
まとめ
今まで普通のマウスしか使ったことがなかった方も、トラックボールの魅力を知って試してみたくなったのではないでしょうか。
トラックボールは慣れるまでに時間がかかりますが、一度その快適な操作性を味わうと「もうマウスには戻れない」なんて方もいらっしゃいます。
職場では通常のマウスを使用し、家庭ではワイヤレスタイプのトラックボールを使用といった使い分けもおすすめです。
肩こりや腕の疲れも減らせることが多いので、トラックボールでパソコンライフをもっと楽しく快適にしましょう。