シャープペンシルは、勉強や仕事で使うことが多い文具です。「シャーペン」と呼ばれることの方が多いです。
学生の頃から社会人になっても使用するシャーペンは、各文具メーカーからさまざまなタイプのものが発売されており、どのシャーペンを使えばよいのか迷ってしまいます。
そこで今回は、テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」の「全国文房具通選手権」で3度の優勝経験がある"文具王"こと高畑正幸さんにおすすめのシャーペンや選び方をご紹介していただきました。
シャーペン選びにお悩みの方はぜひ参考にしてください。
シャーペンは「シャープペンシル」が正式名称ですが、この記事では一般的によく使われている「シャーペン」と表記します。

シャーペンの種類|特徴やメリット・デメリットも紹介
自分に合ったシャーペンを選ぶために、まずはシャーペンの種類について知っておきましょう。
一般的にシャーペンには3つの種類があります。
- ノック式シャーペン
- 振り出し式シャーペン
- オートマチック式シャーペン
シャーペンの種類によってメリットとデメリットが異なるため、それぞれ詳しく解説します。
ノック式シャーペン
ノック式シャーペンは、後端やサイドのノックボタンを押すことにより芯が繰り出されるタイプのシャーペンです。
シャーペンのほとんどはノック式で、他の方式でもノック式併用シャーペンが多いので使ったことのある方がほとんどです。
ノック式シャーペンのメリットとデメリットは次の通りです。
- 安価なものから高級なものまである。
- ノックする際に持ち変える必要がある。
ノック式シャーペンは、もっとも定番な種類のため、商品数が豊富です。
たくさんのシャーペンの中から自分に合ったものを選べるので、種類にこだわりがない方や、なるべく安いシャーペンを求めている方におすすめです。
振り出し式シャーペン
振り出し式シャーペンは、シャーペンを振ることにより芯が繰り出されるタイプのシャーペンです。
「フレフレ」、「フリシャ」などと呼ばれるもので、内部におもりが入っています。振るとおもりが移動してぶつかる力で芯を押し出す仕組みです。
振り出し式シャーペンのメリットとデメリットは以下の通りです。
- 持ち替えずに芯を出すことができる。
- 内部のおもりが移動するので、重心バランスが若干不安定。
- シャカシャカ音が鳴る。
- ペンケース内で勝手に芯が出てしまうことがある。(※使わない時はこの振り出し機構をロックすることができるタイプもある)
振り出し操作はシャーペンを持ち替えずに行えるので、ノック式シャーペンに比べ、より簡単に芯を出せるのが魅力です。
書きにくく感じたり、音が気になったりしないようであれば、振り出し式シャーペンは使い勝手が良いのでおすすめです。
オートマチック式シャーペン
オートマチック式シャーペンは、ノック操作や振り出し操作をすることなく、自動で芯が繰り出されるタイプのシャーペン。
ペン先を紙面から離したときに、摩耗して減った分の芯が引き出される仕組みになっています。
オートマチック式シャーペンのメリットとデメリットは以下の通りです。
- 芯1本を使い切るまでノックせずに書き続けることができる。
- 書くことに集中することができる。
- 一般的に先端のガイドパイプ等が紙面に触れるとその力で芯を押し出すので、ペン先が紙に触れるのが苦手な人には向かない。
シャーペン特有の芯を繰り出す動作が必要ないので、ボールペンのような感覚で書き続けることができます。
集中力を持続させたい方や、長時間筆記をする機会の多い方は、オートマチック式シャーペンがおすすめです。
シャーペンの選び方|文具王が3つのポイントを解説
シャーペンはとても身近な文具なので、販売されている商品数が多く、どれを選べば良いか迷ってしまいます。
そこで、ここからはシャーペンのおすすめの選び方についてご紹介します。
価格で選ぶ
シャーペンの価格は、安いもので数百円、高いもので数万円と非常に幅が広いのが特徴です。
シャーペンの価格帯によって特徴に傾向があるので、ご自身の好みや予算に合わせて、ベストな価格帯のシャーペンを選ぶのがおすすめです。
価格の安いシャーペンの特徴
価格の安いシャーペンは、実用性の高いモデルが多いという特徴があります。
勉強や仕事などの用途で普段使いをするシャーペンは、使いやすさとリーズナブルさが重視されるためです。
なるべく多くの人が使いやすいように、万人受けする使い心地を追求しているため、極端に使いづらいものは、ほとんどありません。
価格の安いシャーペンは、壊れてしまってもためらいなく買いなおせるというメリットもあります。
実用性重視の方や、壊れる心配をせず思う存分使いたい方には、価格の安いシャーペンがおすすめです。
価格の高いシャーペンの特徴
価格の高いシャーペンは、デザイン性の高いモデルが多いという特徴があります。
まるで万年筆のように高級感のあるシャーペンもあり、持っているだけで気分を高めてくれます。
気に入ったデザインのシャーペンを長く愛用したい方や、勉強や仕事のモチベーションを上げたい方は、価格の高いシャーペンの中から選ぶのがおすすめです。
また、価格の高いシャーペンは、自分用にはもちろんのこと、プレゼント用としても人気があります。
価格の高いシャーペンは「ちょっと良いもの」を贈りたいときに、おすすめのアイテムです。

高畑 正幸
文具王
高級な筆記具はある種"ファッション"ですから、気に入ったデザインと予算のバランスで考えて選んで下さい。
特に高級なものほどブランドごとに、歴史や思想が形に表れていますので、選ぶものによって見ている人に与えるメッセージも違ってきます。
歴史や伝統を重んじるクラシックなデザインか、それともモダンなエレガンスか、あるいは道具としての誠実さか、そのブランドの雰囲気と自分の目指すイメージを合わせて考えると良いでしょう。
高価格帯の多くは、機能的に特殊なものは少なく、また内部機構もしっかりしているものがほとんどです。芯は同じですから、どれを選んでも特に困るということはないでしょう。
しいていうなら重量感があるものが多いので、事前に持ち心地を実物でチェックしてから購入されることをおすすめします。
用途に合わせて選ぶ
シャーペンは、書字用・イラスト用・製図用など、用途に合わせて選ぶと、ストレスなく作業がはかどります。
書字用のシャーペンの選び方
書字用のシャーペンは、実用性を重視して選ぶのがおすすめです。
字を書く用途のシャーペンは、使用頻度が高く、使用時間も長くなりやすいことから、デザイン性よりも実用性を重視して選ぶ方が、使い勝手が良いためです。
具体的には、以下のようなシャーペンを選びましょう。
- 芯が折れにくいシャーペン
- 握りやすいグリップのシャーペン
- 自動で芯が繰り出されるシャーペン
大きな文具店や文具コーナーであれば、試し書きが可能なところも多いです。
実際にシャーペンを手に取ってみて、書き心地をチェックしてから購入するのがおすすめです。

高畑 正幸
文具王
書字用シャーペンは、目的にあわせて機能で選ぶのが良いでしょう。中高生にとっては、長い時間触れている道具であり、もっとも頼りになる相棒ですから、意識的に選んで使いたいものです。
美しいまとめノートを仕上げたいなら、芯径の細い製図用とか、テストで使うなら芯が折れにくいものなど対応する芯に合わせて、教科や目的別に複数のシャーペンを使い分けるのもアリですよ。
イラスト用のシャーペンの選び方
イラスト用のシャーペンは、重さで選ぶのがおすすめです。
シャーペンは重さによって書き味が変わります。
軽いシャーペンと重いシャーペンの書き味の違いは次の通りです。
- 軽いシャーペン…ラフ画向き。手が疲れにくく、手早くイラストを描ける。
- 重いシャーペン…線画向き。メリハリのある、強弱をつけた線が描きやすい。
ラフ画を起こしたいのか、線画を描きたいのかによって、最適なシャーペンの重さが異なります。
どちらが良いか迷ってしまう場合には、軽いシャーペンと重いシャーペンの2本を持ち、イラストに合わせて使い分ける方法もおすすめです。
製図用のシャーペンの選び方
製図用のシャーペンは、スリーブが長く低重心のものを選ぶのがおすすめです。
スリーブとは、シャーペンの芯が出る口金のことです。
製図の際は、定規にシャーペンを当てて線を引く動作が多いため、スリーブの長いシャーペンが使いやすいです。
また、線の太さが一定になるようシャーペンを立てて使うため、低重心のシャーペンを選ぶと書き心地が安定し、まっすぐな線が簡単に引けます。
例えば、グリップ部分に金属を採用しているシャーペンは、低重心なので製図用途にぴったりです。
迷ってしまう場合は、「製図用」と明記されたシャーペンを選ぶと間違いありません。
疲れにくさで選ぶ
勉強や仕事などで、日常的かつ長時間シャーペンを使う場合、疲れにくさは見逃せないポイントです。
シャーペンの疲れにくさを左右するのは、次の3点です。
- グリップの太さ・素材
- 芯の太さ
- 軸の素材(重さ)
グリップの太さ・素材
シャーペンのグリップは、使用時に一番力を込める部分でシャーペンの書き味を大きく左右するため、各商品それぞれに独自のこだわりが見られます。
どんなグリップが疲れにくいかは個人差があるため、ベストなグリップは人によって違い、相性があります。
シャーペンのグリップをチェックするときは、以下の特徴を頭に入れておくと、ご自身に合ったシャーペンを選ぶヒントになりますよ。
- グリップが太め…筆圧の強い人向き。力を入れて握りやすい。
- グリップが細め…筆圧の弱い人向き。軽く握るだけでサラサラ書ける。
- シリコンやゲルなどの素材…ソフトな握り心地。長時間使っても疲れにくいが、書く文字や線がブレやすい。
- 金属やプラスチックなどの素材…ハードな握り心地。安定した書き心地で、丁寧に書きたいときに最適。ただし指が滑りやすいものも。
芯の太さ
シャーペンの芯の太さは0.5mmが一般的ですが、好みや用途に合わせて最適な芯の太さに対応したシャーペンを選ぶと、より疲れにくくなります。
シャーペンの芯の太さによる書き味の違いは、次の通りです。
- 0.2mm…かなり細め。製図用途や、細かい書き込みがしたいときに便利。
- 0.5mm…一般的な太さ。文字を書くのに適した太さで、画数の多い漢字でも潰れることなく書ける。
- 0.7mm…やや太め。大きめの文字や、ひらがな・カタカナ・アルファベットなど、画数の少ない文字を書くのに適している。
- 1.3mm…かなり太め。鉛筆に近い線が引ける。イラストのラフや、マークシートの塗りつぶしに向いている。
軸の素材(重さ)
シャーペンの軸の素材により、全体の重さも異なります。
プラスチック製・木製のシャーペンは軽く、金属製のシャーペンは重くなる傾向にあります。
シャーペンが軽いか・重いかは、書き心地に大きく影響するため、自分と相性の良いものを選ぶことで疲れにくくなります。
シャーペンの重さによる書き心地の違いは、次の通りです。
- 軽いシャーペン…扱いやすく、ペン先を素早く動かせる。筆圧が弱い方や、鉛筆のような軽い書き心地が好みの方におすすめ。
- 重いシャーペン…安定した書き心地。丁寧な文字を書きたいときに便利。筆圧が強い方におすすめ。

高畑 正幸
文具王
疲れにくいシャーペンを選ぶときには、まずは疲れにくいというのがどういうことかを考えて下さい。たとえば、思い通りにコントロールできるけどちょっと疲れるものと、長時間持っていて楽だけどちょっと字が下手になりがちなもの、どちらがいいのか、というような問題が発生します。
また、手の負担だけでなく、思い通りに書けることでストレスが少なく感じる場合もあります。疲れにくいというと、ついグリップに目が行きがちですが、自分の筆圧や文字の大きさ、書く量などによって、実は芯の太さや硬さを変えることでも疲れにくさは変わってきます。
単に持った感じが楽、というだけでなく、自分にとって何が楽かを見極めることがポイントです。
シャーペンおすすめ37選|勉強向きから高級モデルまで文具王と編集部がご紹介
ここからは、文房具のプロフェッショナルである高畑さんと、編集部が厳選したおすすめのシャーペンをご紹介します。
文具王愛用のシャーペンはこの2本!
文具評論家であり「文具王」の異名を持つ高畑さんが愛用されているシャープペンシルについて伺ってみました。
残念ながら廃盤になってしまい入手は困難ですが、中古品を探してみてもいいかもしれませんね。

高畑 正幸
文具王
三菱鉛筆の「M4-1052」は0.4mm芯を使うシャープペンシルで、0.5mmよりもシャープに書けて、0.3mmよりしっかり筆圧をかけられるので高校時代のお気に入りでした。今でも図面を書く時に使うことが多いシャーペンです。
また、パイロットの「2020 ROCKEY 05」は、中学から使っていたシャープペンシルで、四角い断面ですが案外持ちやすく、フレフレの芯出し機構が今でも絶妙な軽さでスムーズです。ボリューム感があるのに先端に向けてまっすぐ細くなるので小回りも利き、とても良いバランスだと思います。どちらも既に廃番になり入手は難しいですが、もし手にする機会があったら書き心地を試してみてください。
文具王が語るシャーペンの魅力
最後に、高畑さんにシャーペンの魅力をお伺いしました。

高畑 正幸
文具王
シャーペンには大きく分けて3つの魅力があります。
- ボールペンよりも曖昧に書くことも、シャープに書くこともどちらもできるところ。
- 消しゴムで簡単に修正できるところ。
- デザインや構成を考えながら図面やイラストを描く時に、フリーハンドでおおらかにイラストを描きながら、シャープな図面に落とし込んでいくことが同時にできるところ。

高畑 正幸
文具王
このような魅力があるからこそ、今もシャーペンを使い続けています。
まとめ
シャーペンはメーカーや価格によって、装備されている機能や書き心地、グリップの握りやすさは千差万別です。
そして今後も高機能なシャーペンが続々と発売されることでしょう。
選び方のポイントやおすすめ商品を参考に、お気に入りの1本を見つけてみてください。