色鉛筆はプロの画家やイラストレーターも使用しており、奥が深い画材です。「大人の塗り絵」が新たな趣味として注目されてからは、高品質な色鉛筆を求める方も増えています。
色鉛筆に関する知識があれば、ご自身が描きたい絵や塗りたい絵に適した色鉛筆を簡単に探し出すことができます。
そこで今回は、まるで写真のような絵を描くことで話題の色鉛筆画家・工藤陽輝さんに、色鉛筆の種類ごとの特徴や選び方を解説していただきました。工藤さんの選び方をもとに、編集部がおすすめの色鉛筆を厳選してご紹介します。
お子さまへのプレゼントに最適なものから、プロの画家が使用している本格的なものまで幅広くご紹介します。これから塗り絵を始めようとしている方や、色鉛筆の買い替えを検討している方、ぜひ参考にしてみてください。

色鉛筆は「油性」と「水彩」の2種類

色鉛筆を選ぶ前に、まず知っておかなくてはならないのが、色鉛筆の種類です。
色鉛筆には「油性色鉛筆」と「水彩色鉛筆」の2種類があり、両者はまったく性質が異なっています。
油性色鉛筆の特徴は、発色がよいことや、重ね塗りをしてもムラができない点です。しかし、消しゴムで消えにくいという短所があります。
水性色鉛筆は、水に溶けるためさまざまな使い方ができます。ただし、意図せず濡らしてしまうと、にじんで失敗するかもしないので注意しましょう。

工藤 陽輝
色鉛筆画家
油性色鉛筆は発色がよく、重ね塗りをしやすいという特徴があります。また、芯がやわらかいので塗り心地が非常に滑らかです。
水彩色鉛筆は、芯を水に溶かすことができます。そのため色鉛筆としてだけではなく、水筆を用いることで水彩画を描くことも可能です。
色鉛筆の選び方をプロの画家が解説

続いて、たくさんのメーカーから販売されており、さまざまな種類や色数がある色鉛筆をどのように選べばよいのか、工藤さんにプロの視点から教えていただきました。
使い勝手で選ぶ|色鉛筆の太さ、芯の硬さをチェック

工藤 陽輝
色鉛筆画家
可能であれば、実際に画材屋さんに行って、現物と商品の説明欄をよく見てみましょう。
色鉛筆の太さ、芯の硬さ、どのような絵に向いているのかを確認し、ご自身にあう色鉛筆を探してください。
もしくは、試しに手頃な価格の色鉛筆セットを購入し、試し塗りをしてみるのがおすすめです。
それをもとに、「もう少し太いものがいい」とか、「もう少し硬い芯のほうがいい」といったように、実際に使ってみながら探していくのもいいかもしれませんね。

編集部
色鉛筆は店頭でも試し書きできるのでしょうか?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
お店によりますが、もし試し書きできるのであれば、ぜひその場で試してみてほしいですね。
色の数で選ぶ|最初は20色ほどあれば大丈夫

工藤 陽輝
色鉛筆画家
色の本数については、まずは20色前後あればいいかと思います。色数が多すぎても、最初は同系色のなかでもよく似た色があったりするため、混乱してしまう可能性があります。
より色数が多い色鉛筆が欲しい場合は、基本となる色に近い同系色のものを数種類ずつ揃えてみるといいですよ。
例えば、色の三原色といわれる赤、青、緑があります。これにプラスもう少し色が欲しい…そんな場合は、ピンクや水色、黄緑などを選んでみましょう。ちょっと大ざっぱな例えになってしまいましたが、この要領で選ぶと色の勉強にもなるので試してみてください。

編集部
100色以上ある色鉛筆もありますが、どんな場合に選べばよいでしょう?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
描きたい絵に使いそうな色が豊富に揃っている場合や、似ている色同士のグラデーションを作る場合に選ぶとよいでしょう。
同系色が多いと求めている色を作りやすいので、そんなときは100色以上ある色鉛筆の出番です。
価格で選ぶ|まずは安いものでよい

工藤 陽輝
色鉛筆画家
初めて色鉛筆を購入する場合は、価格が安いものから選びましょう。
最初から高価なものを購入しても、実際に使ってみたら、思ったより描きにくい…なんてこともあります。
メーカーで選ぶ|三菱鉛筆・トンボ・ファーバーカステルなど

編集部
色鉛筆をメーカーで選ぶ場合はどんな点に気をつければよいですか?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
三菱鉛筆・トンボ・ファーバーカステル・カランダッシュあたりのメーカーが特に有名です。
三菱鉛筆の色鉛筆は比較的価格が安いものが多く、なおかつ品質もとてもよいため、初心者から上級者までおすすめです。
トンボの色鉛筆も、三菱鉛筆と同じく安くて品質のよいものが多いもので、お子さまや初心者の方におすすめです。
ファーバーカステルの色鉛筆は芯が柔らかく、塗り味がとても滑らかなので重ね塗りがしやすいのが特徴です。色作りもしやすく、塗りムラができにくいのでとても使いやすく感じます。
カランダッシュの色鉛筆は、軸が少し太いため塗っていて疲れにくいという特徴があります。芯も軟らかめで色作りがしやすいです。

編集部
工藤さんがおすすめしたいメーカーはありますか?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
個人的におすすめのメーカーは、「三菱鉛筆」です。
種類が豊富で比較的安いものが多いため、選びやすいですよ。
色鉛筆おすすめ32選|油性・水彩別にご紹介
それではここから、色鉛筆画家の工藤さんに解説していただいた選び方をもとに、編集部がおすすめの色鉛筆を油性と水彩にわけてご紹介します。
油性色鉛筆のおすすめ19選|発色がよい色鉛筆を使いたい方に
まずは鮮やかな発色が特徴の油性色鉛筆のおすすめをご紹介します。
水彩色鉛筆のおすすめ13選|水彩画のような絵を描きたい方に
続いて、水彩画のような「にじみ」や「かすれ」を表現することができる、水彩色鉛筆のおすすめをご紹介します。
色鉛筆を普通の鉛筆削りで削ってはダメ?


編集部
色鉛筆用の鉛筆削りも販売されていますが、普通の鉛筆削りを使用してはいけないのでしょうか?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
一般的な鉛筆削りで色鉛筆を削ってもよいか悪いかで言えば、もちろんよいです。
特にこだわりがなければ、色鉛筆専用ではない、一般的な鉛筆削りを使ってもらって問題ありません。

編集部
色鉛筆には、どのような鉛筆削りを使うのがベストなのでしょうか?

工藤 陽輝
色鉛筆画家
電動の鉛筆削り機がありますが、それよりも手動の鉛筆削りを使い、芯の尖り具合を目で見ながら慎重に削っていくといいと思います。
まとめ

知れば知るほど奥が深い色鉛筆の世界。200年以上の歴史を持つ海外メーカーの高級品もあれば、日本製の低価格で高品質なものまで、本当にさまざまです。
色鉛筆画家の工藤さんに解説していただいた種類や選び方を参考に、あなたにぴったりの色鉛筆を見つけてください。