食いしばりや歯ぎしりから歯を守りたい、スポーツの際に使用したい、歯並びを直したい、といった理由から「マウスピース」を使用する方もいるでしょう。
しかし、商品の違いがイマイチわからず、どれを選べば良いか迷われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、九段下スターデンタルクリニック院長の田中和之先生にマウスピースの選び方や種類、使用方法やメインテナンス方法について伺いました。記事後半ではおすすめのマウスピースもご紹介します。
マウスピースの使用を検討中の方、新たにマウスピースを買い替えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

マウスピースを選ぶ際のポイント
マウスピースは役割によって選び方が変わってきます。
歯のすり減り防止、歯ぎしり防止、ブリッジやインプラントなどの補てつ物の破損脱離の防止、顎関節の負担軽減など、ご自身が予防したい・守りたいものをはっきりとさせて選ぶことが重要となります。
歯ぎしり・食いしばりから歯を守りたい

夜寝ている間の歯ぎしりや仕事中など集中する時に食いしばってしまう方は、歯を守るタイプのマウスピースがおすすめです。
- 歯ぎしりをしても歯にダメージを負わないように保護
- 柔らかい素材が上顎の歯と下あごの歯同士の摩擦や圧力を軽減
- 顎関節症の予防や改善
- 「ナイトガード」と呼ぶこともある
歯ぎしりや食いしばりによって、歯の摩耗・咬耗が起こり、しみる原因になります。最悪の場合、顎関節症や歯がぐらついて抜けてしまうこともあるため、早期にマウスピースで歯を守ることが大切です。
さらに、歯ぎしり・食いしばり予防のマウスピースは、厚さにも注意が必要です。
硬さには2つのタイプがあり、それぞれの特徴は下記のとおりです。
- ソフトタイプ
顎関節の痛みがある方、歯ぎしり食いしばりがある方、装着感を気にする方におすすめ - ハードタイプ
顎関節に痛み疲れがある方、顎関節の音がする方、歯ぎしり食いしばりが強い方、肩こりがある方におすすめ
いびき・睡眠時無呼吸症候群を防止したい
いびきや睡眠時無呼吸症候群が気になる方は、その予防や改善に役立つマウスピースがおすすめです。
- マウスピースは、舌が気道を塞がないようにする仕組みになっている
- 下顎が上顎よりも前に出る位置に保たれるよう上下固定タイプ
いびき、睡眠時無呼吸症候群は寝ている時に舌が喉の奥に落ちて空気の通りが悪くなることが原因で発生するため、マウスピースの構造が特殊です。
基本的には、治療のため歯科医院での作成になります。
スポーツにおける歯の損傷を防止したい
スポーツをする時に力が入り、気付かないうちに歯を食いしばったり、衝突の多い競技などで歯を守りたい場合には、スポーツ用のマウスピースがおすすめです。
- 歯を損傷したり、舌を噛んだり、口の中を切ったりすることから守る
- 瞬間的に力を込める時に、過度に歯を噛みしめることを防ぐ
- 「マウスガード」と呼ぶこともある
- チームで色を揃えることができる
歯並びを直したい
歯並びを直すには歯列矯正用のマウスピースがおすすめです。市販のものもありますが、基本的には歯科医院での作成を推奨しています。
マウスピースの種類
マウスピースには、奥歯で固定するタイプと、歯並びに合わせて作るタイプの2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しく説明していきます。
奥歯で固定するタイプ
一番強い圧力がかかる左右の奥歯に固定し、歯全体を守るタイプです。歯全体を覆っていないのが特徴です。
- 小さいので違和感が少ない
- 部分的なので、手軽に歯ぎしり対策ができる
- 前歯でガイドすることができないため、奥歯に負担がかかる
歯並びに合わせて作るタイプ
マウスピースをお湯で熱して柔らかくした後に、自分の歯に当ててフィットする形を作るタイプです。
- ご自身の歯並びや噛み合わせに合ったものが手軽に作れる
- 前歯でガイドさせると、奥歯のみのガイドより負担が減る
- 全部を覆うので違和感が大きい
マウスピースおすすめ12選|用途別にご紹介
ここからは、歯ぎしり・食いしばり、スポーツ用の用途別におすすめのマウスピースをご紹介します。
マウスピースおすすめ6選【歯ぎしり・食いしばり】
まずは、歯ぎしりや食いしばりで歯を損傷しないためのおすすめマウスピースをご紹介します。
マウスピースおすすめ6選【スポーツ用】
次に、スポーツでの歯の損傷や口腔内の怪我を防止するマウスピースをご紹介します。
食事の時はどうするの?

マウスピースを装着すると、気になるのが食事の時でしょう。九段下スターデンタルクリニックの田中院長に、食事の時のマウスピースの取り扱いについて解説していただきました。
- 食事の時は可能な限りマウスピースを外す
特に砂糖が使われている食べ物などは装着したまま食べると虫歯になる危険性があるため、食事の時は外しましょう。 - 飲み物の種類によっては外す
水は装着したままで大丈夫ですが、コーヒー・紅茶はマウスピースに色が移る可能性があるため、外すようにしましょう。 - 食後に再度装着する
可能であれば、マウスピース装着前に歯磨きをしてください。歯磨きができなければ、せめてうがいをするようにしましょう。
マウスピースのメンテナンス方法は?
続いて、マウスピースの正しいメンテナンス方法についても田中院長に伺いました。
- 装着時
歯磨きをして、汚れを落としてから装着する - 起床後
マウスピースを外して水洗いをする - 汚れがある場合
入れ歯洗浄剤や中性洗剤を使って洗う
(※市販の歯磨き粉には研磨剤が入っているため使用は避ける)
基本的には以上の方法で扱いましょう。ちなみに、咬合面がすり減ってきたら買い替え時です。
メーカーによっては、水の温度や使用できる洗浄液に制限がありますので、しっかりと説明書を読んでから使うようにしてください。
まとめ

マウスピースにはさまざまな使用目的やメーカーがありますが、ご自分の目的に合わせて適切なマウスピースを選びましょう。