ハーモニカにはいくつか種類があることをご存知でしょうか?
「こういう音を鳴らしたい人はコレ!」というように、人によって向いているハーモニカは異なります。知らずになんとなく買ってしまうと、「思っていたのと違う」なんてことになってしまいます。
そこで、これからハーモニカに挑戦しようとしている初心者や、演奏する曲の幅を広げるためにハーモニカの買い替えを考えている上級者など幅広い方に向けて、種類別におすすめのハーモニカをご紹介します。
ハーモニカの選び方や、それぞれの種類の特徴や扱い難易度について、「ワールドハーモニカフェスティバル2001」で優勝経験のあるハーモニカ奏者、寺澤ひろみさんにお話を伺いましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ハーモニカの種類と選び方
ハーモニカには、「テンホールズハーモニカ」、「クロマチックハーモニカ」、「複音ハーモニカ」の3種類があります。
それぞれの特徴をハーモニカ奏者の寺澤ひろみさんに解説していただきました。
テンホールズハーモニカ|ブルース、ロック、フォークを好む方に

ハーモニカには振動して音を発する「リード」と呼ばれる部品が内蔵されており、テンホールズハーモニカには1つの穴の中に吹き音と吸い音のためのリードが各1枚ずつ入っています。そのため、穴が10個しかなくても2オクターブ以上の音域をカバーできることが特徴です。
「ダイアトニック(全音階)」とも呼ばれるように、ある1つの調の全音階しか出せないため、半音階や音域によって省かれている音を出すには、ベンドテクニックを習得するなどの工夫が必要です。
多くのものが全長10cmほどで重さも65g前後とコンパクトです。価格も安価で手に取りやすく、ただ口にくわえて吹き吸いをするだけでも和音で音楽を奏でることができます。
フォークギターやボーカルの合いの手のように使われることも多く、そういったイメージをお持ちの方も多いでしょう。
半音階や省略されている音を出すためのテクニックが習得できずに途中であきらめてしまう方もいるようですが、そこがとてもおもしろいとおっしゃる方もいます。

編集部
テンホールズハーモニカはどのような人、音楽に向いているかを教えてください。

寺澤ひろみ
ハーモニカ奏者
年齢・性別は問いませんが、手に取りやすい価格帯であり、バンド音楽の彩りとして使われた先例が多いため(ゆず、いきものがかりなど)、比較的若い方が手に取る機会が多いようです。
どんなジャンルの音楽でもできますが、比較的ブルース、ロック、フォークなどを好む方が多いです。
クロマチックハーモニカ|クラシックから演歌まで幅広い音楽に

クロマチックハーモニカのクロマチックは「半音階」という意味で、半音階を自由に出せることが特徴です。
1つの穴にリードが吹き込みと吸い込みで各2枚ずつ(例:C,C#,D,D#)入っていて、楽器の横についているボタンレバーを操作し穴を切り替えることにより、半音上の音が出るようになっています。
クロマチックハーモニカ1本で、メロディーだけであればどんな曲でも吹くことができます。12穴で3オクターブ、16穴で4オクターブの音域をカバーしています。
大きさは3オクターブのもので15cm前後、4オクターブのもので20cm前後となっており、重量と価格帯は素材によって大きく異なります。初心者の方は1万7000円からの比較的手に取りやすいものから始めることが多く、プロでは100万円を超える純銀製を好む方もいらっしゃいます。
半音階が出せるので、一度に何本も持つ必要はありません。また「固定ド」の楽器なのでフルートやバイオリン用の楽譜でもハーモニカ用に読み替える必要がなく、買ってきた楽譜を五線譜のまま演奏できます。
構造上、ダイアトニック系に比べて音が出しにくく、特に低音域を出すのにコツがいるので、そこでつまずいて諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。独習をするとその低音域の出しにくさで楽器が壊れていると勘違いして、楽器店にクレームが入ることもあるようです。

編集部
クロマチックハーモニカはどのような人・音楽に向いているかを教えてください。

寺澤ひろみ
ハーモニカ奏者
年齢・性別は問いません。クラシック、ジャズ、ポップス、歌謡曲から演歌まで幅広く好まれます。機種による音色の特徴の差が大きいので、自分がやりたい音楽に向いた機種や、好みの音色の機種を選ぶ必要があります。
複音ハーモニカ|童謡、民謡、歌謡曲の演奏に
複音ハーモニカは海外ではダイアトニックトレモロハーモニカとも呼ばれています。
テンホールズハーモニカ(10穴)と同じくダイアトニック(全音階)の配列で、1つの音に2枚のリードを要し、上下2段の穴に1枚ずつ2Hz(ヘルツ)ほど音程をずらして調律してあります。
ほかの楽器にはない繊細なトレモロにより、特徴的で美しい音色を出すことが可能です。主流は20cm・130gの21穴3オクターブのモデルです。材質は木材か樹脂が一般的で、価格帯は1本4000~1万8000円ほどです。
1音につき2穴あるので息の抜けが良く、ほかの2つに比べて軽く吹いただけでも音がすぐに出ます。また、昭和初期から様々な奏法が開発されており、メロディーを吹きながら和音やリズムの伴奏を入れられることも大きな特徴です。
10穴と同じようにダイアトニックで半音階を出せないため、半音階を出すには半音違いの調のハーモニカを持つ必要があります。また、10穴と違うのは半音階を出すためのテクニックがない(構造上不可能である)ことです。また、自分で伴奏を入れられるようになるまで、奏法の習得が必要です。

編集部
複音ハーモニカはどのような人・音楽に向いているかを教えてください。

寺澤ひろみ
ハーモニカ奏者
年齢・性別を問わず、他の種類のハーモニカに比べて軽い息でしっかりした音が出せますので、肺活量が少ない高齢者や喘息などのリハビリをしたいという方にもおすすめです。
複音ハーモニカは日本に渡ってきた最初のハーモニカの種類で、時期は日露戦争のころだったと聞いています。そのトレモロの音色が当時の日本人に大変好まれ、日本で大きな進化をとげました。
そのため、どちらかというと童謡、唱歌、民謡、歌謡曲、演歌などを吹く方が多くいらっしゃいます。
しかし、ロックの世界ではこの音色を「元からディストーションがかかっているように聞こえる」とおっしゃる方もいますし、現代音楽的な観点からはトレモロに含まれる倍音の層が非常に好まれています。
ハーモニカおすすめ24選|初心者向けから上級者向けまでご紹介
ハーモニカ奏者の寺澤ひろみさんのアドバイスをもとに、おすすめのハーモニカを編集部が厳選しました。
初心者向けから上級者向けまで幅広いモデルをそれぞれご紹介します。
テンホールズハーモニカおすすめ10選
まずは、ブルースやロックなどの音楽で弾き語りをしたいという方や、初心者や教育用に使用したい方におすすめのテンホールズハーモニカをご紹介します。
クロマチックハーモニカおすすめ8選
半音階を使いたい方、1台で幅広い音を奏でたい方、ジャズを演奏したいなどという方におすすめのクロマチックハーモニカをご紹介します。
複音ハーモニカおすすめ6選
昔ながらの歌謡曲や児童唱歌を奏でたい方、厚みのある豊かなサウンドを鳴らしたい方、独奏で音色をしっかりと聴かせたい方におすすめの複音ハーモニカをご紹介します。
まとめ
ハーモニカ奏者の寺澤ひろみさんにハーモニカの種類と選び方をご紹介していただきました。
ハーモニカは他の楽器と比べて、初期費用があまりかからないことが初心者にとっての魅力です。
興味がある方はご紹介したおすすめのハーモニカを選んで、ぜひこの機会に始めてみてください。