「トマトを切るつもりが潰してしまう…」包丁を使ってそんな状況になってしまうなら、原因は“鈍ら(なまくら)包丁”でしょう。鈍ら包丁を回復させるには、“研ぐ”というメンテナンスが必要になります。
今回は料理研究家・栄養士・家事研究家の阪下千恵さんとともに、簡易研ぎ器(シャープナー)や電動式研ぎ器などの「簡単に包丁が研げる包丁研ぎ器」を中心にご紹介します。

包丁研ぎ器の種類
包丁研ぎ器にはいくつかの種類がありますが、まずは手持ちの包丁の種類に応じて使い分ける必要があります。
三徳包丁や牛刀などの両刃包丁、出刃包丁や刺身包丁などの片刃包丁があります。それぞれの包丁には刃の特徴と向き・不向きがあります。
包丁のおすすめ記事もありますので、各包丁について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
砥石

編集部
それでは専門家の阪下千恵さん、まずは包丁研ぎ器の種類を教えてください。

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
砥石は昔からある定番の方法です。
本来は砥石にも石の粗さに種類があり、これを2~3種類使って仕上げていきます。家庭用として売っているタイプは、大きな刃こぼれ等には対応できませんが、1種類で切れ味が戻るよう調節された砥石が一般的です。

編集部
たくさん砥石を揃える必要はないんですね。
実際どのように使うのでしょうか?

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
砥石は使う前に水に15分程度漬けておく必要があり、角度や回数、包丁の刃のタイプ(片刃・両刃など)によって研ぎ方が異なるため、やり方を知らないと少し敷居が高いことが難点です。
角度や研ぐ回数など、「これで合っているのか?」という正解がわからないため、不安に感じて使えないという方も多いようです。
間違った方法で研いでしまうと、包丁を傷めてしまうこともあるので注意が必要ですよ。

編集部
不器用なタイプだとハードルが高そうですね…。

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
大丈夫ですよ。今は動画配信サービスなどで方法を調べることができます。
砥石での包丁研ぎにチャレンジしたい方は、まずは動画でコツをおさらいするのがおすすめです。

編集部
なるほどその手がありましたね!
確かにたくさんの分かりやすい解説動画がアップされていますね。
簡易研ぎ器

編集部
動画で見てもやっぱり不安だという方もいるかと思います。他に何か良いアイテムはないでしょうか?

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
ご安心を。実は私が日常的に愛用しているのは包丁を溝に入れて引くだけの簡易タイプである「簡易研ぎ器」と呼ばれるタイプです。もっとも手軽で便利ですよ。
包丁メーカーが出しているものから、ホームセンターなどのノーブランドのものまで多数あります。
サイズがコンパクトで軽く、収納しやすいのも良いところです。

編集部
砥石より簡単そうですね。使い方を教えてください!

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
各商品によってプリセットされている砥石の数が異なり、たとえば2ステップ式なら「ステップ①を~回、ステップ②を~回引く」というように包丁をひいて研ぐ回数に指定があります。
回数と“引く”か“押す”かを守ればいいだけなので簡単ですよ。モデルによって“引く”だけのものもあります。

編集部
それだけで研げるんですか?早速試してみたいです!
その他にも簡易アイテムがありましたら教えてください。

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
同じ「簡易研ぎ器」でも、ナイフや棒の形で包丁をこするようにして研ぐタイプもあります。こちらも手軽に切れ味が戻るという簡易包丁研ぎ器のひとつです。
ただ「これで研げているか」「包丁をあてる角度が合っているのか」と、研げている実感がないのが難点です。

編集部
コツが要りそうですが、普段ネイルのお手入れに爪やすりを使っている方は同じように扱えるかもしれませんね。
電動タイプ
仕組みは簡易研ぎ器と同様で、刃に当たる部分が自動で回転するようになっています。
電動式のため手動で何度も刃を前後させる必要がなく、スピーディに研ぎ作業がこなせます。
手動のハンディタイプと比較すると本体価格は高めですが、とても使いやすいのでおすすめです。
包丁研ぎ器の選び方


編集部
種類についてよく分かりました。それでは包丁研ぎ器の選び方を教えてください。

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
家庭で使う包丁を研ぐ道具を選ぶポイントは、「使いやすい」かどうか、「収納しやすい」かどうかです。
そもそも日常的に「包丁を研ぐ」ということさえしたことがないという方も多いかと思います。
どんなに切れ味の良い高い包丁を買っても、だんだんと切れ味は悪くなってくるので、研がなければいけません。

編集部
そうですよね、毎回包丁を買い直すわけにもいかないです。
包丁研ぎが重要であることを認識できました。
包丁研ぎ器おすすめ26選
ここからはおすすめの包丁研ぎ器を、両刃用・片刃用・兼用・電動式に分けてご紹介します。
両刃用の包丁研ぎ器おすすめ10選|ササッと簡単に研ぎたい方向け
手軽に研ぎたい方向けです。砥石を使うと仕上がりは素晴らしいですが、時間がかかるというデメリットがあります。
簡易研ぎ器でもこまめにお手入れすれば切れ味が長持ちします。
ここでは三徳包丁や牛刀などの両刃包丁に適した簡易包丁研ぎ器をご紹介します。
片刃用の包丁研ぎ器おすすめ4選|出刃包丁や柳刃包丁などに
片刃用は、魚をさばくときに使う出刃包丁や和包丁などの片刃包丁のお手入れに最適です。
兼用の包丁研ぎ器おすすめ5選|さまざまな包丁に対応
片刃と両刃兼用研ぎ器がひとつあれば、家中の包丁・ナイフをお手入れできます。
電動式の包丁研ぎ器おすすめ7選|早くて安全!負担を軽減させる
電動式は置く場所と電気が必要ですが、研ぎ時の手への負担軽減や「かける時間は短く、仕上がりは本格的」が叶います。
包丁研ぎ器が必要なのはどんな時?

阪下 千恵
料理研究家・栄養士・家事研究家
包丁を研ぐタイミングは、トマトやパプリカの薄皮がスッと切れなくなってきた頃が目安です。
切れない包丁のまま使っていると、ご自身では修復できないほどに傷んでしまう可能性もあるので、こまめにメンテナンスしてください。
包丁研ぎ器を購入する際の注意点
「包丁研ぎ器の種類」の項目でもお伝えしましたが、まずはお使いの包丁の材質や両刃・片刃かを確認してください。
その上で購入を検討しているモデルの性能を公式サイトで事前にチェックし、“対応包丁”を把握しておきましょう。
中には両刃専用や片刃専用の包丁研ぎ器がありますので、ご自身の所持していない包丁用の研ぎ器を購入してしまわないよう注意しましょう。
まとめ
包丁研ぎ器を使えば、不器用な方でも手軽に切れ味を復活させることができます。
今回ご紹介した選び方やおすすめ商品を参考に、包丁研ぎ器を見つけてみてくださいね。