ミルクから離乳食に切り替えた子猫が、次に必要になるのが子猫用のキャットフードです。「子猫用」と記載されている商品がたくさん販売されているため、どれがいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
子猫用のキャットフードは、子猫の体づくりに欠かせない栄養素が多く含まれており、元気に動き回るためカロリーが高いことが特徴です。
子猫のときにしっかり栄養をとって健康な体を作っておかないと、成長したときに不調や病気が多くなってしまう可能性もあります。
今回は、子猫用のキャットフードを正しく選ぶため、動物のプロである獣医師の石井万寿美先生に選び方を教えていただきました。
選び方にあったおすすめの子猫用キャットフードもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

子猫用キャットフードはいつまであげていいの?

一般的には、生後1年までを子猫と呼びます。
子猫は生後2ヶ月で前歯から乳歯が生え、生後6ヶ月で永久歯に変わります。それまでは離乳食を与えますが、6ヶ月を迎えたら少しずつ子猫用のキャットフードに切り替えていきましょう。
では、切り替え後、いつまで子猫用のフードを与えてよいのでしょうか。生後1年になると、子猫用か成猫用のどちらを与えていいのか迷ってしまうところです。

石井 万寿美
獣医師、作家
体重がなかなか増えないようなら、1歳を過ぎて子猫用を与えていても大丈夫です。
反対に体重が増えすぎた場合、生後10ヶ月ぐらいからゆっくりと成猫用に移行してください。
生後何ヶ月かで決めるのではなく、体重を目安に子猫用から成猫用に切り替えると良いようですね。
子猫用キャットフードの選び方|6つのポイント

ここからは、子猫用のキャットフードを選ぶときに知っておきたいポイントを、6つご紹介します。獣医師の石井万寿美先生に教えていただきましたので、購入前にチェックしましょう。
子猫から成猫になる期間は、体づくりにとても大切な時間です。子猫の体にプラスになるキャットフードを選べるように心がけましょう。
①キャットフードに含まれている原材料・栄養素を把握


石井 万寿美
獣医師、作家
成猫に向かって体を作る時期なので、栄養素がきちんと入っているものを選びましょう。嗜好性はその次に考えます。
体をきちんと作っておかないと、成猫になって頻繁に病気をしてしまいます。
子猫用のキャットフードで一番大切なことは、子猫に必要な栄養素がきちんと入っていることです。体がどんどん作られる子猫の時期に、栄養不足にならないように注意して選びましょう。
栄養面でチェックしておきたいポイントは次の2つです。
- 元気に走り回ったり遊んだり、毎日大量のカロリーを消費する子猫ですが、成猫のように一度に多くの食事をとることがまだできません。
そのため、少しの量でも十分にカロリーがとれる、高カロリーのフードを選びましょう。
- タンパク質は子猫の体を作るために大切な栄養素です。高品質な動物性のタンパク質がたくさん入っているフードを選びましょう。
タンパク質が30〜40%程度入っているフードがおすすめです。
また、子猫が気に入ってくれたキャットフードは、つい同じものをあげたくなってしまいますが、猫のためにはあまりよくないようです。

石井 万寿美
獣医師、作家
子猫の時期に嗜好性が広がるので、同じメーカーのものを与え続けるのではなく、信頼できる他のメーカーもあげてみましょう。
②検査基準・安全性をチェック

ぐんぐん栄養を体に吸収していく子猫の時期は、できるだけ安全性の高いキャットフードを与えてあげましょう。
日本では2009年からペットフード安全法が施行されましたが、まだ安全基準づくりの途中という状況です。
安全性を確認する方法としてのポイントは、きちんと法律が整備されている国で生産されているかどうかです。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫を飼うという歴史があるところがいいですね。アメリカ、イギリス、カナダなどの先進国のフードが比較的安全になります。
猫を飼う歴史が長いアメリカやヨーロッパではきちんと法律が整備されている国が多く、原料から製品まで厳しく検査されています。
たとえば、アメリカで有名な検査機関は「AAFCO(アーフコ:米国飼料検査官協会)」や「FDA(食品医薬品局)」があり、安全なペットフードの基準を設けています。
③多彩な食材を与える

子猫に与えるキャットフードは、肉と魚どちらが子猫の体にプラスになるのでしょうか。
たとえば、チキンが好きな子にはチキンばかり、マグロが好きな子にはマグロばかりなど、子猫の好みにあわせて与えてもよいものか悩んでしまいますよね。

石井 万寿美
獣医師、作家
嗜好性に多様性がある方がいいので、子猫の時期から多様な食材を食べさせておきましょう。
チキンばかりではなく、魚のフードも与えられるといいですね。
子猫の時期には、固さや食感の異なるキャットフードや、さまざまな種類の肉や魚など、バリエーション豊かな食べ物を食べさせてあげましょう。
④グレイン・グルテンフリーや無添加など、配合成分を確認

キャットフードに入っている原料をあらわす言葉として、グレインフリー・グルテンフリー・無添加などがあります。アレルギーがある子猫は購入前にしっかり確認しておきましょう。
キャットフードの成分表示は、多く含まれている成分から順番に記載されています。肉や魚が上位に記載されていれば、子猫に必要なタンパク質が多く含まれていることになります。
安全性が気になる場合は、具体的な肉や魚の名前が記載されている商品を選ぶのがおすすめです。
グレインフリー
グレインとは穀物のことです。穀物アレルギーを持つ猫にはグレインフリーのキャットフードを選んであげましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
「グレインフリー」とは、穀物(米、小麦、トウモロシ)を原材料に使用していないフードのことです。猫は肉食なので、グレインフリーの食事がいいですね。
下痢気味の子は、グレインフリーにしただけで健康なうんちになる子もいます。
デメリットは、価格が高いということです。総合栄養食でない場合もあるので、よく見て購入しましょう。
「総合栄養食」とは猫の成長に必要な栄養基準を満たし、新鮮な水と一緒に与えるだけで健康が維持できるように計算してつくられているフードのことです。
グルテンフリー
グルテンとは、小麦などに含まれるタンパク質の一種のことです。小麦アレルギーの子猫には、グルテンフリーと記載されているフードを選びましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
「グルテンフリー」とは、麦類全般が含まれていないフードです。
似ているようですが、グレインフリーは麦類を含むイネ科の植物全体が、グルテンフリーは麦類のみが含まれていないものです。つまり、グレインフリーであれば必然的にグルテンフリーであるということになります。
無添加
添加物は、開封後の商品の劣化や変質を防ぐためや、猫の食いつきをよくするために使われています。
法整備が緩い国のフードや、検査体制が整っていない企業が製造したフードには、子猫の体に有害となる添加物が含まれていることがあるので注意が必要です。
主に亜硝酸ナトリウムやフルビル酸カリウム、増粘剤・増粘多糖類、BHA・BHTなどには気を付けましょう。
ほとんど添加物の入っていないキャットフードは、がんや肝臓病などになりにくいというメリットがあります。
ただし、総合栄養食でない場合があるため注意が必要です。また、猫にとって嗜好性が高くないことや、価格が高いという難点もあります。

石井 万寿美
獣医師、作家
無添加のキャットフードとは、酸化防止剤としてローズヒップやビタミンC、Eが添加されるだけのものを指します。着色料なども含まれていません。
完全無添加なキャットフードというのはほとんど存在しません。ただ、できるだけ添加物の入っていないものをあげたいのであれば、石井先生が挙げている自然由来の酸化防止剤が入ったものにしましょう。
⑤総合栄養食・一般食・食事療法食など、目的別に選ぶ

キャットフードは入っている栄養素の違いによって、総合栄養食・一般食・食事療法食の3つに分けられています。
この種類によって、主食として与えられるフードなのか、おやつとして与えるフードなのかを見分けることができます。
総合栄養食
総合栄養食は、子猫が必要な栄養基準をすべて満たしたフードのことです。総合栄養食と新鮮な水を与えるだけで、他のフードを与えなくても健康を維持することができます。
健康的に問題がない子猫の主食として選ぶなら、総合栄養食を選びましょう。
「総合栄養食」と表示できるのは、ペットフード公正取引協議会が定める試験基準を満たした商品のみです。パッケージに、総合栄養食と表示されているか確認して購入しましょう。
一般食
一般食は、子猫に必要な栄養素をある程度満たしているものの、これだけでは栄養バランスがきちんととれないフードのことです。
一般食だけを食べさせると栄養に偏りがでてしまうので、総合栄養食のトッピングとしてあげたり、ご褒美やおやつとしてあげたりといった、補助的な使い方をします。
食事療法食
食事療法食とは、特定の病気の進行を遅らせたり療養したりするために、病気の改善を目的として作られているフードのことです。
病気の見極めが素人には難しいため、基本的に自己判断で与えてはいけません。子猫の健康や体調で気になることがあれば、まず獣医師に相談して食事のアドバイスをしてもらいましょう。
⑥ウェットやドライなど、嗜好性を考えて選ぶ
キャットフードは、水分量の違いによってウェットフードとドライフードに分けることができます。
子猫の好みにあわせるのが一番ですが、さまざまな食感を体験させるために両方与えてみるのがおすすめです。
ウェットフード

ウェットフードは、水分量が多く含まれるキャットフードのことです。一般的に全体の75%程度が水分といわれています。
スープのようにとろとろのフードやすりつぶしてパテ状になっているもの、肉や魚の身がごろっと大きく入っているものなど、同じウェットフードといってもバリエーションが豊富にあります。
水分量が多いため水分補給の効果があり、脱水症状が心配な夏やあまり水を飲まない子猫におすすめです。

石井 万寿美
獣医師、作家
ウェットフードは、猫にとって嗜好性が高いので喜ぶ子も多いです。水分が多いので、下部尿路疾患や慢性腎不全の子たちにもよいです。
デメリットとして、水分が多い分食べている割に太りにくいなどということがあります。
総合栄養食が少ないので、購入されるときはよく確認をしてください。
ドライフード

通称「カリカリ」と呼ばれているドライフードは、水分量が少ないため保存性に優れているのが特徴です。一般的に水分含有量は10%未満といわれています。
ウェットフードよりも固いため、子猫によっては食べるのが苦手な場合もあります。うまく食べてくれないときには、ミルクやぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードをトッピングしてあげるなど、工夫してドライフードに慣れさせていきましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
ドライフードは乾燥しているので、経済的で総合栄養食も多いです。そして栄養のバランスもいいので体重も増えます。
デメリットは、水分がほとんどないので下部尿路疾患などになる子が多いことです。水分補給を忘れないようにしましょう。
子猫用キャットフードおすすめ26選|子猫の成長をサポートする商品をご紹介
これまで解説した6つの選び方を参考にして、編集部おすすめの子猫用キャットフードを厳選しました。
説明文のなかで、特に月齢や年齢を記載していない商品は、生後1歳(12ヶ月)くらいまでの子猫用です。
愛猫の好きな食感で選べるように、ウェットタイプとドライタイプに分けてご紹介していきますので、お好みの方をチェックしてみてください。
グレインフリーは、イネ科の植物(穀物)が原材料に使われていない商品、グルテンフリーは、麦類全般が含まれていない商品のことです。
子猫用キャットフードおすすめ14選【ウェットタイプ】
まずは、柔らかくて食べやすい、子猫用ウェットタイプのおすすめフードをご紹介します。
なめらかなペースト状のものから、お肉の食感が楽しめるものまで、バリエーション豊かにセレクトしました。
子猫用キャットフードおすすめ12選【ドライタイプ】
ここからは、ドライタイプの子猫用キャットフードのおすすめ商品をご紹介します。
小粒に作られているフードや違う食感が楽しめるものなど、子猫が食べやすいように工夫されているフードをたくさんセレクトしました。
ドライタイプが固くてまだ食べられない子には、ミルクやぬるま湯でふやかして柔らかくしてから、少しずつ慣れさせていきましょう。
子猫用キャットフードを与えるときの適切な量や回数とは?

子猫用のキャットフードを与えるときの適切な量は、購入した子猫用フードに記載されている量を参考にしましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
子猫用を始めたばかりのときは3回ぐらいで、だんだんと2回にしてください。
体重が増えない、うんちが丸1日出ない、などというときは、少しフードを増やしてください。
与える量は、子猫の体調を見ながら調整しましょう。
まとめ

子猫用のキャットフードの選び方を獣医師の石井万寿美先生に教えていただき、おすすめのフードをご紹介しました。
子猫の成長期に選ぶフードは、その後の健康に大きく影響します。安全性が高く、栄養バランスの取れたフードを選びましょう。
子猫にさまざまな味を知ってもらうためにも、ぜひいろいろなタイプのフードを食べさせてあげてください。