子猫にも人間の赤ちゃんと同じように離乳食の時期があります。離乳食は成猫になるまでの体を作る大切な時期なので、あっという間に成長する子猫のためにも早い段階からきちんと準備しておきたいですよね。
子猫用離乳食は、水分の管理が大事です。それ以外に、安全性や栄養のバランス、添加物など成分も気にしてあげましょう。また、主食やおやつなどの種類や食感のタイプなども選ぶときの重要なポイントです。
今回は、獣医師としてはもちろん、著書も多数出版する作家としてもご活躍中の石井万寿美先生監修のもと、おすすめの子猫用離乳食をご紹介します。
子猫を飼い始めた方、これから子猫を飼う予定の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 子猫用離乳食の時期はいつからいつまで?
- 子猫用離乳食の選び方|6つのポイントをチェック
- ①子猫用離乳食は水分に気をつけよう
- ②子猫用離乳食の栄養面や安全面をチェックしておこう
- ③離乳食にはムース・ペースト、粉末を!ウェット、ドライもOK
- ④肉や魚など、主原料も子猫の好みに合わせてみよう
- ⑤グレイン・グルテンフリーなど、使用する材料や成分もチェック
- ⑥総合栄養食、一般食、食事療法食と種類も知っておこう
- 子猫用離乳食おすすめ24選|キャットフードのタイプ別に紹介!
- 子猫用離乳食おすすめ8選【ムース・ペーストタイプ】
- 子猫用離乳食おすすめ4選【粉タイプ】
- 子猫用離乳食おすすめ6選【ウェットタイプ】
- 子猫用離乳食おすすめ6選【ドライタイプ】
- まとめ
子猫用離乳食の時期はいつからいつまで?
石井 万寿美
獣医師、作家
生後2ヶ月で前歯から乳歯が生え、6ヶ月で永久歯に変わります。その時期が離乳食の時期です。つまり生後2ヶ月から生後6ヶ月の間です。
猫は哺乳類で、産まれたときミルクで育つ動物です。離乳食は、ミルク以外の食品からも栄養を取り入れ、子猫用食へと移行する過程の食事のことなので、始めはミルクのように水分が多いものですが、だんだんと歯が使えるものに移行していきます。
子猫用離乳食の選び方|6つのポイントをチェック
キャットフードは、法的な規制があまりなく、無法地帯のようになっているのが現状です。子猫用離乳食もまた、何がよくて何が悪いのか、判断しにくい状況にあります。
知っておくべき安全性や成分などについて、獣医師の石井万寿美さんに教えていただきました。
①子猫用離乳食は水分に気をつけよう
子猫は成猫と比べて消化器官が未熟なため、キャットフードの硬さや水分量に気をつける必要があります。
水分の多い離乳食をずっと与えていると体重が増えません。料理用のはかりでもいいので、毎日の体重測定が大切です。体重が減るようであれば、水分の少ないものに変更するなどの対応が必要です。
また、便の状態から水分量を確認することもできます。
石井 万寿美
獣医師、作家
早くから固形のもの(水分の少ないもの)を与えるとうんちが緩く、ひどい場合は下痢をします。うんちを見ながらゆっくりと離乳食を与えましょう。
②子猫用離乳食の栄養面や安全面をチェックしておこう
健康的に成長するためには、子猫用離乳食に含まれている成分も重要です。
石井 万寿美
獣医師、作家
嗜好性だけで選ばず栄養面を考慮しましょう。体を作る時期なので、離乳食は大切です。
同じ物を食べ続けていると栄養が偏ってしまうので要注意です。子猫の場合は食いつきで評価するのではなく、しっかり栄養面も考慮しましょう。
そしてこのほかにも、栄養面や安全面において注意すべき点がいくつかあります。
生産国によるキャットフードの安全基準
ペットフード業界において、日本はまだ法規制が整っていません。そんな日本に比べ、アメリカやヨーロッパは、キャットフードを製造する際の明確な基準があります。
アメリカには「AAFCO(アーフコ:米国飼料検査官協会)」や「FDA(食品医薬品局)」といった検査機関が存在します。安全なペットフードの基準を定め、原料から成分までを厳しくチェックしています。
石井 万寿美
獣医師、作家
猫を飼うという歴史があるところがいいですね。アメリカ、イギリス、カナダなどの先進国のフードが比較的安全になります。
賞味期限が長いキャットフードは避けるべき
成猫やシニア猫と同様、子猫用離乳食にももちろん賞味期限があります。賞味期限とは、おいしく食べられる期間のことです。消費期限と比べると期限切れによる危険性は低いといわれています。
しかし、ただでさえ身体がデリケートな子猫なので、賞味期限が切れないうちに与えてあげましょう。
なお、賞味期限が長いキャットフードは通販などでまとめ買いができストックもしやすいですが、注意が必要です。賞味期限が長いということは、長い期間風味や見た目を劣化させないために添加物が入っている恐れもあります。
石井 万寿美
獣医師、作家
技術革新によりフードを新鮮に保てる技術も進んでいますが、添加物を入れると代謝する肝臓に負担がかかるので、なるべく賞味期限の短いものをおすすめします。
子猫の成長にカロリーは欠かせない
成猫の場合、あまりカロリーを与えすぎると肥満になり健康を損なう可能性があります。しかし、年齢や体格ごとに必要なカロリーの量は異なるものです。
キャットフードのほとんどは、子猫・成猫・高齢猫用が用意されています。子猫の場合、ある程度カロリーなどの栄養を摂ることが大切です。
石井 万寿美
獣医師、作家
体を作る時期なので、栄養素がきちんと含まれているものを選びましょう。体をきちんと作っておかないと、成猫になって病気がちになることもあります。
塩分の過剰摂取には注意しよう
キャットフードは基本的に薄い塩分で味付けされているものです。たまに人間と同じ食べ物を与える方もいらっしゃいますが、猫にとって塩分の過剰摂取は、腎臓病などの重い病気につながるため注意が必要です。
心配な方は、成分表示をチェックするほか、獣医師がおすすめするキャットフードを中心に与えるのがおすすめです。おやつのあげすぎも塩分過多になりがちなので気をつけましょう。
③離乳食にはムース・ペースト、粉末を!ウェット、ドライもOK
子猫用離乳食にもウェットやドライの他に、ムース、ペースト、粉末などのタイプがあります。それぞれの特徴を参考に商品を選ぶことが大切です。
幼い猫にはまずムース・ペーストタイプ
ムースは、粒子が細かいタイプです。生後2ヶ月などの幼い猫は、まずこのムースタイプから離乳食を始めましょう。
そして、粒子の荒いペーストタイプは、ムースタイプを食べて少し大きくなってきた頃に与えるのがよいです。早くからペーストタイプを与えると、なかには下痢をしてしまう猫もいるので気をつけましょう。
やわらかさを調節できる粉タイプ
粉末タイプの離乳食は、お湯で溶いて作ります。離乳したての頃はゆるめに溶いてミルクと一緒に与えるのがおすすめです。様子を見ながら徐々に硬めに溶いていきましょう。
兄弟猫など子猫がたくさんいる場合でも、それぞれの成長に合わせたやわらかさや細かさを調節できるので便利です。
食いつきのよいウェットタイプ
水分の多いキャットフードは、食いつきがよく消化もよいという特徴があります。また、脱水状態が心配な夏場や、なかなか水を飲まない猫にも最適です。
母乳からフードに切り替わるための離乳食は、幼い猫に合わせてやわらかめのなめらかな質感に仕上げているものが多いです。より食べやすいようペースト状にしてから与えるのもおすすめです。
ドライフードとも混ぜやすく、離乳食から子猫用の食事に移行しやすいのもポイントです。
ふやかしてあげるドライタイプ
「カリカリ」と呼ばれているドライタイプのキャットフードです。水分量が少なく保存性に優れています。離乳食を卒業した後、そのままドライタイプのフードへ移行しやすいのがメリットです。
まだ小さな子猫に離乳食として与える場合、そのままでは食べられないことがあります。お湯や水でよくふやかして潰し、食べやすくしてあげましょう。
また、塩分が多く含まれているものもあるので、成分表示などをチェックして塩分の過剰摂取に注意しましょう。
④肉や魚など、主原料も子猫の好みに合わせてみよう
人間と同じく、猫も食べ物の好き嫌いがあります。食いつきが悪くて心配な場合は、主原料を変えてみましょう。実は肉ではなく、魚の方が好きであることも考えられます。
子猫にも成猫やシニア猫と同じように好みがあります。それを知るためにも、肉や魚などいろいろな離乳食を準備しておきましょう。
⑤グレイン・グルテンフリーなど、使用する材料や成分もチェック
子猫用離乳食を選ぶとき、使用されている材料や成分にもこだわりましょう。キャットフードには、グレインフリーやグルテンフリー、無添加のタイプなどがあります。
子猫はもちろん、アレルギーや持病のある猫に嬉しいこれらのフードですが、粗悪な原料や人工添加物が含まれているものも少なくありません。
これから成長をしていく子猫であれば、よりいっそう体型や体質に最適なものを選ぶ必要があります。
グレインフリー
「グレインフリー」とは、米、小麦、トウモロシなど、イネ科の植物(穀物)を原材料に使用していないフードのことです。穀物に食物アレルギーがある猫などにおすすめです。
成分表示を見るときのポイントは、上位に魚や肉類などタンパク質が記載されていることです。成分表示には、多く含まれている成分から順に記載されています。
安全性にこだわりたい方は、魚や肉の種類まで明記されているものを選びましょう。
石井 万寿美
獣医師、作家
猫は肉食なので、グレインフリーの食事がよいですね。下痢気味だった子も、グレインフリーのフードに切り替えただけで健康なうんちが出るようになることがあります。
デメリットは、価格が高めということ。また、総合栄養食でない場合もあるので、よく見て購入しましょうね。
グルテンフリー
グルテンフリーは、麦などに含まれる「グルテン」と呼ばれるタンパク質を原材料に使用していないフードのことです。グルテンアレルギーの猫におすすめです。
石井 万寿美
獣医師、作家
いつもうんちがゆるいなどの症状がある子は、グルテンアレルギーの可能性があるので血液検査を受けることをおすすめします。
グルテンアレルギーであれば、フードをグルテンフリーのものに変えることで下痢止めや整腸剤などを内服しなくても改善することがあります。
無添加
主に商品の劣化・変質を防ぐためや、猫の食いつきをよくするために使われている添加物ですが、キャットフードには、酸化防止剤や着色料などが含まれることがあります。
キャットフードに対する法規制がゆるい日本では、危険な添加物が使用されているフードもあります。
石井 万寿美
獣医師、作家
無添加のキャットフードとは、酸化防止剤としてローズヒップやビタミンC、Eが添加されているだけのものを指します。着色料なども含まれていません。
まったく何も添加物が含まれないというのは難しいですね。
無添加キャットフードのメリットは、ほとんど添加物が入っていないため、がんや肝臓病などになりにくいという点です。
デメリットは、総合栄養食でない場合には栄養バランスに注意が必要なことです。猫にとって嗜好性が高くないことや、それでいて比較的価格が高いということも知っておきましょう。
プレミアムフード
世間で販売されているキャットフードには、プレミアムフードというものがあり、品質にこだわって作られたものを指します。
なかには、添加物の量を最小限に留めるだけでなく、原料や製造工程の安全基準を人間の食品と同じように設けた「ヒューマングレード」というものもあります。
しかし、ペットフード業界において、「プレミアムフード」と表示するための規制やルールはありません。
石井 万寿美
獣医師、作家
プレミアムフードとはイメージだけで、本来キャットフードにおいてまったく規定がありません。どれがプレミアムを決めるのは、飼い主さんです。
オーガニックキャットフード
オーガニックとは、有機栽培、有機農業という意味です。オーガニックのキャットフードは、有機栽培などで育てられた農産物を使用したものを指します。
材料が安心なのでがんや肝臓病などの病気になりにくいのがメリットです。一方で、価格が高いことや総合栄養食でない場合は栄養素に気をつける必要があり、猫にとって嗜好性が高くないものもあります。
オーガニックには認定基準があり、その基準をクリアすると認証マークが付けられます。基準は生産される国によって異なりますが、まずは認証マークのあるフードを選べば安心です。
石井 万寿美
獣医師、作家
しかし、オーガニックのフードは多くありません。その場合は、主原料にオーガニックな材料が使われているかどうかで選ぶとよいでしょう。
なかには、主原料でなく副原料にオーガニックな材料が使用されているものもあるので、よく調べてくださいね。
⑥総合栄養食、一般食、食事療法食と種類も知っておこう
子猫用離乳食にも、成猫やシニア猫と同じように総合栄養食、一般食、食事療法食など種類があります。
総合栄養食
「総合栄養食」とは猫が必要とする栄養基準を満たしそれと水だけを与えるだけで栄養学的に大丈夫なフードのことです。猫の成長に必要な栄養素をバランスよく摂れるように調整されています。
総合栄養食と名乗れるのは、ペットフード公正取引協議会が定める試験基準をクリアした商品のみです。
石井 万寿美
獣医師、作家
体を作る時期なので、できるだけ総合栄養食を与えてくださいね。
元気で特に体調に問題のない子猫にも、主食としてこの表示があるものを選ぶのがよいそうです。
一般食
「一般食」は、必要な栄養素を“ある程度”満たしたフードのことです。いわゆるおかずのようなものです。
成長期の子猫にはもちろん総合栄養食でバランスのよい食事を与えるのがよいですが、食いつきが悪いときなどには総合栄養食にこの一般食をトッピングして与えるという方法もあります。
ただし、与えすぎると栄養バランスが崩れてしまうので注意しましょう。
また、一般食のなかには、「栄養補助食」や「栄養補完食」などという種類もあります。これらも特定の栄養素を目的としたものなので、バランスを考えながら、あまり多く与えすぎないよう気をつけてください。
食事療法食
「食事療法食」とは、特定の病気に対して進行を遅らせたり、食事で病気を改善するために栄養素などを調整してつくられたキャットフードのことです。
成分や栄養素をコントロールすることで症状の軽減などが見込める場合に用いられます。
基本的には自己判断ではなく、体調に合わせて獣医師と相談の上で、適したものを与えましょう。
子猫用離乳食おすすめ24選|キャットフードのタイプ別に紹介!
子猫用離乳食のおすすめ商品をムース・ペーストタイプ、粉末タイプ、ウェットタイプ、ドライタイプからご紹介します。石井先生の解説を参考にしながら、子猫の成長に大切な離乳食を選んでみてくださいね。
グレインフリーは、イネ科の植物(穀物)が原材料に使われていない商品、グルテンフリーは、麦類全般が含まれていない商品のことです。
子猫用離乳食おすすめ8選【ムース・ペーストタイプ】
まずはムース・ペーストタイプの子猫用離乳食をご紹介します。幼い子猫を飼い始めた方は、まずこのタイプの離乳食からスタートさせてみましょう。
一般食や栄養補完食などもセレクトしてみたので、総合栄養食のトッピングなどとして選んでみるのもおすすめです。
子猫用離乳食おすすめ4選【粉タイプ】
続いて、粉タイプの子猫用離乳食をご紹介します。液状にしたり、ペースト状にしたり、体調や成長などに合わせて調節して作れる粉タイプはとっても便利です。
子猫用離乳食おすすめ6選【ウェットタイプ】
続いて、ウェットタイプの子猫用離乳食をご紹介します。総合栄養食からセレクトしました。生えたての乳歯でも簡単に噛める、口の中でとろけるほどやわらかい食感のものもあります。ぜひチェックしてみてくださいね。
子猫用離乳食おすすめ6選【ドライタイプ】
最後に、ドライタイプの子猫用離乳食をご紹介します。
離乳食期間はもちろん、離乳食卒業後も与えられるというメリットがあります。もちろん、ここでご紹介するのはあくまで離乳食としてです。ふやかしてあげるという前提のもと、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
子猫用離乳食は、子猫の成長に欠かせないプロセスです。子猫の体質や好みに影響を与えるものでもあるので、慎重に選びたいものです。
健康的な身体を作るための大切な時期なので、もちろん食事だけではなく健康面もこまめにチェックしてあげてくださいね。