最近、人間用の食べ物だけではなくキャットフードでも「グルテンフリー」という単語をよく目にします。
なんとなくよさそうということはわかっていても、グルテンフリーのよい点や悪い点など、詳細を理解している方は少ないのではないでしょうか。
この記事ではそんなグルテンフリーのキャットフードについて、特徴と選び方を獣医師の石井万寿美先生のご意見を伺いながら解説します。また、編集部ピックアップのキャットフードもご紹介します。
グルテンフリーとは?グレインフリーとの違いについて解説
最初に理解しておきたいのが、グルテンフリーとグレインフリーの違いについてです。この2種類は言葉は似ていますが、同じものではありません。
- グルテンフリー
小麦などに含まれているたんぱく質の一種であるグルテンが含まれていないこと - グレインフリー
イネ科の植物(穀物)が原材料に使われていないこと
つまり、小麦などの麦類もイネ科の植物なので、グレインフリーであれば必然的にグルテンフリーであるということになります。
では、グルテンフリーのフードはどんな猫におすすめなのでしょうか。
石井 万寿美
獣医師、作家
猫のなかには、グルテンアレルギーの子もいるので、そのような子にはおすすめです。
いつもウンチが緩いなどの子は、グルテンアレルギーかもしれないので、血液検査をしてもらいましょう。
グルテンアレルギーであれば、下痢止めや整腸剤などを内服しなくてもフードをグルテンフリーのものにすれば、症状がなくなる可能性があります。
重要なのは血液検査をしてもらってからグルテンフリーのキャットフードにするという点です。ウンチが緩い原因が別にあった場合、病気が進行したり悪化したりする可能性もあります。
自己判断せず、必ずかかりつけの動物病院の獣医師に相談しましょう。
獣医師監修!グルテンフリーのキャットフード6つの選び方
グルテンフリーのキャットフードを選ぶ際にチェックすべき6つのポイントをご紹介します。
グルテンフリーという表示があればあとは値段だけで決めればいいという考えは危険です。これらのポイントを踏まえて愛猫に適したキャットフードを選んでみましょう。
①安全性の高いものを選ぶ
選び方のなかでも重要といえるのが安全性です。キャットフードは毎日食べるものですので、安全なものをあげたいですよね。健康な生活は、まずは毎日の食事からです。
生産国によって異なるキャットフードの安全基準
実はキャットフードの安全基準は生産国によってまちまちです。たとえばアメリカやヨーロッパは、キャットフードを製造する際の明確な基準があり、原料から成分までを厳しくチェックしています。
一方、日本では2009年からペットフード安全法が施行されたものの、まだ安全基準や成分の規制作りの途中といった状況です。そのため、国産だからといって安心というわけではありません。
では、安全性の観点で見たとき、どの国のキャットフードがおすすめなのでしょうか。
石井 万寿美
獣医師、作家
猫を飼うという歴史があるところがいいですね。アメリカ、イギリス、カナダなどの先進国のフードが比較的安全になります。
賞味期限の長いキャットフードには要注意
かわいい猫のためとはいえ、キャットフードの買い物はちょっぴり面倒なことでしょう。ついつい賞味期限の長いものを選んでしまいがちですよね。しかし、賞味期限は短いほうがおすすめです。
石井 万寿美
獣医師、作家
猫は、新生肉食の動物です。本来なら小動物を丸ごと(内臓も頭も骨も)食べます。しかし、フードとしてなかなかそういうものを用意するわけにはいきません。
新鮮なものを与えたいので、やはり賞味期限の短いほうが体には負担がかからないですね。
技術革新によりフードを新鮮に保てる技術も進んでいますが、添加物を入れると代謝する肝臓に負担がかかるので、なるべく賞味期限の短いものをおすすめします。
また、賞味期限が切れたキャットフードは猫には与えないようにしましょう。
賞味期限が切れたものは、ニオイや味が変わるだけではなく、空気に触れて変質している可能性もあります。
②主原料として魚か肉を使用したものが良い
猫は本来肉食の動物です。しっかりと良質なたんぱく質をとることが健康には重要です。主原料としては、魚や肉を使用しているものが最適です。
また、肉にせよ魚にせよ重要なのはその品質です。新鮮で安全な原材料を使っているかどうかをチェックしましょう。
原料にミートミールや家禽ミールと記載されているものには要注意です。すべてが悪いわけではありませんが、品質管理が万全でないメーカーの場合、骨や鶏の羽毛など猫に食べさせたくないものが含まれていることがあります。
できるだけ品質管理にこだわっているキャットフードのメーカーを選ぶことがポイントです。
カロリーを与えすぎていないかも考えよう
猫にとって肥満は健康を損なう原因のひとつです。太りすぎないためには、年齢や体格に応じたカロリーを与えることが重要です。
石井 万寿美
獣医師、作家
カロリーが高いから栄養バランスがよいわけではありません。カロリーが高いと肥満になりやすいので気をつけましょう。栄養のバランスが大切です。
太りすぎると関節への負担が増したり、心臓に悪影響を及ぼすこともあります。長く健康で暮らしてもらうためにもカロリーコントロールを心がけましょう。
塩分を摂取しすぎないように!
キャットフードは一般的に人間の食べ物よりも塩味が薄めです。これは、塩分が高いと猫の腎臓に負担がかかるためです。
腎臓に負担をかけないためにも成分表示をチェックして、塩分が高すぎないキャットフードを選ぶようにしましょう。獣医師の先生に相談するのもおすすめです。
また、猫用のおやつにも塩分は含まれるので、おやつのあげすぎにも注意が必要です。
③無添加やオーガニックなどの記載があると安心
人間用の食べ物と同じく、キャットフードにも無添加やオーガニックといった記載があると安心です。
無添加とはキャットフードに人工的な添加物などが使われていないものを指します。危険とされる主な添加物は亜硝酸ナトリウム、フルビル酸カリウム、増粘剤・増粘多糖類、BHA・BHTなどです。
石井 万寿美
獣医師、作家
酸化防止剤と記載されている場合、ローズヒップやビタミンC、Eが添加されるだけのものを指します。無添加といわれるキャットフードには着色料なども含まれていません。
無添加のキャットフードのメリットは、がんや肝臓病を引き起こす危険があるとされるような添加物がほとんど入っていないところです。一方で、猫の嗜好性が高くなかったり、価格が高いところがデメリットといえます。
オーガニックキャットフードは、有機栽培や有機農業で作られた生産物を使ったキャットフードのことです。オーガニックの認定基準は生産される国によって異なり、基準をクリアしたものにはマークが与えられます。
- 日本の製品:有機JAS
- イタリアの製品:Associazion Italiana per I'Agricolture Biologica
- オーストラリアの製品:Australian Certified Organic
石井 万寿美
獣医師、作家
まずは有機認証のあるものを選べば安心ですね。しかし、なかなかこのようなフードは多くありませんので、主原料がオーガニックかどうかで選ぶとよいでしょう。
副原料がオーガニックを使用しているものもあるのでよく調べてくださいね。
オーガニックのキャットフードのメリットは、がんや肝臓病を引き起こす危険がある材料がほとんど入っていないところです。
デメリットは、コストが高いことや、総合栄養食でない場合は栄養素に気をつけないといけないことです。嗜好性が高くない場合もあります。
※「総合栄養食」とは猫の成長に必要な栄養基準を満たし、新鮮な水と一緒に与えるだけで健康が維持できるように計算してつくられているフードのことです。
④子猫、成猫(アダルト猫)、シニア猫など年齢に合わせて選ぼう
猫のライフステージは、一般的に3つに分けられます。
- 子猫期:生まれてから1歳まで
- 成猫期:1歳から7歳まで
- シニア猫期:7歳以上
それぞれのライフステージごとに必要な栄養は異なるものです。たとえば、子猫用のものをシニア猫に与えてしまうと、高カロリー高たんぱく質すぎて体によくないなどということがあります。
石井 万寿美
獣医師、作家
シニアの子は、慢性腎不全の子が多いのです。そのような子に、高タンパク質はよくありません。その子のステージにあったフードにしてくださいね。
グルテンフリーのフードは高タンパク質の場合があるので、注意して見てあげましょう。
シニア猫を飼っている方がグルテンフリーのキャットフードを選ぶときには、たんぱく質の量に注意しましょう。
⑤総合栄養食、一般食、食事療法食で選ぶ
キャットフードは総合栄養食、一般食、食事療法食の3種類に分けられます。それらはそれぞれ目的が違うものです。表示をきちんと確認して目的にあったものを選びましょう。
総合栄養食
総合栄養食は猫が必要とする栄養基準を満たしたキャットフードのことで、猫にとってのご飯です。
石井 万寿美
獣医師、作家
総合栄養食のメリットは、これと水だけ給与するとほかに何も与えなくても健康を維持できることです。
デメリットは、嗜好性が高いとは言いきれないものもあります。健康面だけを考えると、猫が食べてくれない場合もあります。猫が喜んで食べてくれる工夫をしてくださいね。
総合栄養食と名乗れるのは、ペットフード公正取引協議会が定める試験基準をクリアした商品のみです。元気で健康的な特に問題がない猫には、主食としてこの表示があるものを選びましょう。
一般食
必要な栄養をすべてではなく一定量満たしたものが一般食です。総合栄養食のように栄養バランスが整っているものではなく、いわば猫用のおやつです。
石井 万寿美
獣医師、作家
一般食は、総合栄養食に比べて嗜好性が高いです。また、種類も豊富です。
その反面、一般食だけを食べていると、栄養バランスが崩れたりする場合もあります。一般食を食べさせている場合は、ときどき血液検査をして栄養のバランスを見てあげましょうね。
キャットフードを購入する際は、必ずそれが総合栄養食なのか一般食なのか確認して買うようにしましょう。
一般食は1日1回のおやつやご褒美、嗜好性のよくないドライフードのトッピングとして使うのが最適です。
食事療法食
食事療法食は総合栄養食や一般食とは違った目的のキャットフードです。病気を患っている猫に正しい食事療法食を与えることで、病気の進行を遅らせたり、改善したりすることができます。
石井 万寿美
獣医師、作家
食事療法(medical diet)とは、食事の量やバランス、また成分を調節することによって病気の療養をしたり、病気の進行を遅くしたりすることです。
そのための食事を食事療法食といいます。病気は、糖尿病、腎臓病、下部尿路疾患、肥満などが一般的です。
食事療法食を飼い主の判断で与えるのは危険です。猫の体調に気になる点があればまず獣医師に相談をし、指導のもと食事療法食を選ぶようにしましょう。
⑥食感や水分量の違うウェット・ドライから選ぶ
キャットフードには食感や水分量の違いからウェットタイプとドライタイプに分けられます。猫の好みや健康状態に合わせて選ぶのがポイントです。
ウェットタイプ
ウェットタイプのキャットフードは、その名の通り、水分量の多いキャットフードのことです。原材料である魚や肉の香りが強く、柔らかくて消化がよいのが特徴です。
嗜好性の高さも特徴のひとつです。また、水分が多いため、下部尿路疾患や慢性腎不全の猫にも最適です。
その一方で、水分の割合が多いので量を食べている割に必要なカロリーを摂りきれないというデメリットもあります。また、総合栄養食よりも一般食のほうが多いので、購入する際にはよく確認しましょう。
ドライタイプ
水分量が10%未満のキャットフードで、カリカリとも呼ばれているものです。水分量が少ないため保存性が高く、飼い主にとってもラクなので毎日のご飯に選ばれやすいです。
食べ応えがあるので、咀嚼によってあごの筋肉が鍛えられたり、歯の表面についた歯石が落ちたりという効果もあります。
ただ、ドライタイプのキャットフードには塩分が多く含まれていることがあります。成分表示などをチェックして塩分の過剰摂取にならないように注意してください。
水分が少ないために下部尿路疾患などになる猫もいるので、水分補給を忘れずにさせましょう。
グルテンフリーのキャットフードおすすめ23選
ここからは、 医師の選び方を参考に編集部が厳選したおすすめのグルテンフリーキャットフードをご紹介します。
選び方のポイントを押さえて、愛する猫にピッタリのものを選んでください。
グルテンフリーキャットフード9選【ウェットタイプ】
まずはウェットタイプのグルテンフリーキャットフードをご紹介します。自然食材や、新鮮で上質な食材を使用した商品をセレクトしました。嗜好性が高いウェットタイプのキャットフードは猫も喜んでくれることでしょう。
グルテンフリーキャットフード14選【ドライタイプ】
ここからはドライタイプのグルテンフリーキャットフードをご紹介します。こちらも猫に優しく、健康をしっかりサポートする商品を選んでいます。猫が無心にカリカリと食べる姿はいつ見ても癒されます。
まとめ
今回はグルテンフリーのキャットフードの選び方とおすすめの商品を、獣医師の石井万寿美先生のアドバイスを参考にご紹介しました。
アレルギーの予防に役立つグルテンフリーのキャットフードですが、価格だけで選ばず、この記事でご紹介した選び方のポイントを参考に選んでみてください。