可愛い飼い猫にはできるだけ長く健康でいてほしいですよね。そのために、プレミアムキャットフードと呼ばれる高級なキャットフードを買い求める人が増えてきました。
でも、そもそもプレミアムキャットフードと普通のキャットフードの違いやメリットなどはあるのでしょうか。
この記事ではそんなプレミアムキャットフードについて、獣医師の石井万寿美先生の監修のもと解説していきます。また、おすすめのプレミアムキャットフードも合わせてご紹介します。
プレミアムキャットフードへの切り替えを考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

猫用プレミアムフードとは?通常のキャットフードと何が違うの?

そもそも、プレミアムキャットフードとはどのようなキャットフードなのでしょうか。
調べてみると、「プレミアム」の意味は「ほかの物より価値があること。高級。上等。高価。」となっています。なんとなく「高級」、「体によさそう」などというイメージはありますよね。

石井 万寿美
獣医師、作家
プレミアムフードとはイメージだけで、キャットフードにおいてはまったく規定がありません。どれがプレミアムを決めるのは、飼い主さんです。
おそらく高級という意味で使われているのでしょうが、それは主観的なもの。飼い主さんは、「プレミアム」というワードに惑わされないようにしてくださいね!
つまり、極端にいえばどんなキャットフードもプレミアムキャットフードと名乗ることができるということです。
プレミアムキャットフードだからといって何も考えずに選ぶのではなく、選び方が重要です。次の項目からはその選び方について見ていきましょう。
猫用プレミアムフードの選び方|獣医師が教えるチェックすべきポイント

プレミアムキャットフードを選ぶときにはこれから解説する6つのポイントをチェックしていきましょう。これらを踏まえれば、本当に選ぶべきプレミアムキャットフードがわかるはずです。
プレミアムフードにはグレインフリー、グルテンフリー、無添加などがある

プレミアムキャットフードのなかには、グレインフリー、グルテンフリー、無添加といった商品が存在します。それぞれどのようなものなのでしょうか。
グレインフリーキャットフード
グレインフリーキャットフードとは、イネ科の植物(穀物)が使われていないキャットフードのことです。本来猫は肉食の動物なので、グレインフリーの食事が適しているようです。

石井 万寿美
獣医師、作家
下痢気味の子は、グレインフリーにしただけで健康なウンチになる子もいます。
ただ、原材料を絞っている分、高価になりがちな傾向にあります。また、総合栄養食ではなく一般食の場合もあるので、表示をよく見て選ぶことが重要です。
グルテンフリー
グルテンとは、小麦などに含まれるタンパク質の一種。人間と同じく、猫でも小麦アレルギーを持つ場合があります。その場合にはグルテンフリーのキャットフードをあげるようにしましょう。
ところで、グルテンフリーとグレインフリーはよく似た言葉ですが、同じようなものなのでしょうか。

石井 万寿美
獣医師、作家
よく似た言葉ですが、「グルテンフリー」とは、麦類全般が含まれていないことです。
つまり、グルテンフリーは麦類全般が含まれていないことを指すのに対して、グレインフリーはより幅広く穀物全般が含まれていないことを指します。グレインフリーであればグルテンフリーでもあるということですね。
無添加キャットフード
キャットフードには酸化防止剤や着色料が含まれていることがあります。
これらは製造後や開封後に商品の劣化や変質を防ぐため、あるいは猫の食いつきをよくするために使われるものです。

石井 万寿美
獣医師、作家
メリットは、ほとんど添加物が入っていないのでがんや肝臓病などになりにくいこと。
デメリットは、総合栄養食でない場合があるため注意が必要なこと。また、猫の嗜好性が高くないこともあります。価格が高いことも多いです。
すべての添加物が危険というわけではありません。特に注意すべき添加物として代表的なものは以下です。
- 亜硝酸ナトリウム
鮮やかな色を出すための発色剤。鮮やかな色を出すためです。この物質は、発がん性があります。 - フルビル酸カリウム
フードが劣化したり腐敗を防ぐ保存料。遺伝子の突然変異や染色体異常を引き起こす可能性があり、がんの発生と関係があるといわれています。 - 増粘剤、増粘多糖類
とろみをつける成分。これらの一部は、発がんが疑われています。 - BHA(プチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
酸化防止剤。歩行障害、肝臓機能の低下、発がん性もあるといわれています。
無添加のキャットフードと呼ばれている商品に酸化防止剤として含まれているのはローズヒップやビタミンC、Eなど。着色料なども含まれていません。
オーガニックキャットフード
オーガニックキャットフードとは、有機栽培、有機農業で作られた、その農産物、広く畜産品を含めた生産物を使ったキャットフードのことです。

石井 万寿美
獣医師、作家
デメリットは、コストが高いことや、総合栄養食でない場合は栄養素に気をつけないといけないことです。嗜好性が高くない場合もあります。
オーガニックの認定基準は生産される国によって異なり、基準をクリアしたものにはマークが与えられます。
- 日本の製品:有機JAS
- イタリアの製品:Associazion Italiana per I'Agricolture Biologica
- オーストラリアの製品:Australian Certified Organic
まずは上記のような認定基準にクリアした商品を選べば安心です。しかし、主原料にオーガニック食材が使われているキャットフードはあまり多くはありません。
なかには副原料にのみオーガニック食材を使用し、主原料はオーガニックの食材でないフードもあるのでよく調べましょう。
安全性をチェックしておこう


石井 万寿美
獣医師、作家
プレミアムフードと表示する規定はありません。言葉にとらわれずに、原材料をきちんと見てから購入してくださいね。
石井先生のいうとおり、「プレミアム」と記載されているからといって安全だと思い込むのは危険です。安全性についてもしっかりチェックしましょう。
生産国によるキャットフードの安全基準
キャットフードについての安全基準は国によって異なります。日本では2009年まで法律すらなく、現在もまだ安全基準や成分の規制作りの途中となっています。
一方で、猫を飼う文化が長い国にはしっかりとした法整備がなされています。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫を飼うという歴史があるところがいいですね。アメリカ、イギリス、カナダなどの先進国のフードが比較的安全です。
原材料の仕入れ先などを確認して、信頼できる国から来ているかを考えましょう。
アメリカやヨーロッパは、キャットフードを製造する際の明確な基準があり、原料から成分までを厳しくチェックしています。迷ったら、こういった国でつくられたフードを選ぶのもおすすめです。
賞味期限が長いキャットフードは避けるべき
人間用の食品と同じく、キャットフードにも賞味期限があります。消費期限と比べると期限切れによる危険性は低いといわれていますが、においや味が変わってしまっている場合は要注意です。
空気に触れることで変質してしまう恐れもあるので、できるだけ賞味期限内で食べきるようにしましょう。
賞味期限が長いキャットフードは保存がきくためストックできるのはよいですが、猫の体に影響がないのかが気になります。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫は、新生肉食の動物。本来なら小動物を丸ごと(内臓も頭も骨も)食べます。しかし、フードとしてなかなかそういうものを用意するわけにはいきません。
新鮮なものを与えたいので、やはり賞味期限の短いほうが体に負担がかからないですね。
技術革新によりフードを新鮮に保てる技術も進んでいますが、添加物を入れると代謝する肝臓に負担がかかるので、なるべく賞味期限の短いものをおすすめします。
カロリーの与え過ぎは愛猫の健康に影響する
猫も肥満になると心臓や関節に負担がかかり、健康を損なう可能性があります。そして、太る原因のひとつがカロリーの摂りすぎによるものです。
年齢や体格ごとに必要なカロリーは異なり、キャットフードにも子猫・成猫・高齢猫用のようにライフステージに合わせたものがあります。その猫に適したものを与えるようにしましょう。
また、カロリーと栄養バランスは別物であることも理解しておく必要があります。

石井 万寿美
獣医師、作家
カロリーが高いから栄養バランスがよいわけではありません。カロリーが高いと肥満になりやすいので、気をつけましょうね。栄養のバランスが大切です。
塩分の過剰摂取には注意しよう
猫がよくかかる病気が腎臓の病気です。その原因のひとつとなるのが、腎臓に負担をかける塩分の濃い食事となっています。そのため、塩分の過剰摂取には注意が必要です。
心配な方は、成分表示をチェックしたり、獣医師の先生がおすすめするキャットフードを中心に与えましょう。おやつにも塩分が含まれていますので、おやつのあげすぎによる塩分過多も注意が必要です。
肉?魚?主原料もチェックしておこう

猫は本来肉食の動物ですが、肉のほうが好きか魚のほうが好きかは猫によって違うもの。もし主原料が魚のキャットフードを食べてくれない場合は、肉のキャットフードに切り替えると食べてくれるかもしれません。
人間と同じく若いときと歳をとってからでは好みが変わることもあるので、それぞれの猫の好みに合わせてあげることが大事です。
肉にせよ魚にせよ大事なのは品質。新鮮で品質の高い材料を使っているキャットフードを選ぶようにしましょう。
ミートミール、あるいは家禽ミールと記載され、なおかつ品質管理ができていないメーカーですと、猫に食べさせたくない骨や羽毛まで含まれていることもあります。品質管理が厳しいメーカーの商品であれば安心です。
子猫、成猫、シニア猫など愛猫のライフステージから選ぶ

猫のライフステージは大きく3つに分けられます。
- 子猫:誕生から1歳まで
- 成猫:1歳から7歳
- シニア猫:7歳以上
それぞれのライフステージにおいて、必要とするカロリーや栄養素は異なります。必ず、ライフステージにあった食事を与えるようにしましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫は腎臓が弱く、シニアになると高タンパク質では慢性腎不全になりやすいため、年齢に応じたタンパク質が必要ですね。
多頭飼いをしていて食事が分けられない場合は、全年齢対象のキャットフードを用意するとよいでしょう。
プレミアムフードにも総合栄養食、一般食、食事療法食がある

通常のキャットフードと同じく、プレミアムキャットフードにも総合栄養食、一般食、食事療法食が存在します。それぞれに用途が異なるキャットフードなので、特徴を把握して猫の体調に合わせてで与えるようにしましょう。
総合栄養食
猫が生きるのに必要な栄養分がバランスよく配合されたキャットフードです。これと水があれば猫が健康的に生きていけるようになっています。
健康面で特に問題がない猫に主食として与えるなら、この表示があるものを選びましょう。
健康にはよいのですが、あまり猫の食いつきがよくない場合もあります。その場合は一般食をふりかけるなど、与え方を工夫してみましょう。
一般食
猫のおやつともいうべきフード。猫が必要とする栄養素を一定量のみ満たしたものを指します。
嗜好性が高いため、猫が喜んで食べる傾向があります。1日1回のおやつやご褒美としてあげると良いでしょう。
一般食だけを与えていると、栄養バランスが崩れる場合があります。一般食を食べさせている場合は、ときどき血液検査をして栄養のバランスを見てあげましょう。
食事療法食
上記以外にも種類があります。猫の病気は、糖尿病、腎臓病、下部尿路疾患、肥満などが一般的です。これらの病気を持つ猫のためにつくられたフードが食事療法食です。
食事の量やバランス、成分などを調節することによって病気の療養をしたり、病気の進行を遅くしたりする目的でつくられています。
基本的には獣医師の指導のもと与えるべきもの。猫の調子が悪いからといって自己判断で与えないようにしましょう。
ウェットやドライなど食感や形状の種類で選ぶ
プレミアムキャットフードも、水分が含まれる量によってドライタイプとウェットタイプに分類されます。
ウェットタイプ

含まれる水分の量が多いものがウェットタイプのキャットフード。フレーク、パテ、ゼリー、スープなどさまざまな食感と形状のものがあります。
香りが強く、肉や魚の食感が楽しめるため、猫の嗜好性が高いの特徴です。また、消化がよく水分補給代わりにもなるため、年齢を重ねた猫にもピッタリです。

石井 万寿美
獣医師、作家
ウェットタイプは猫にとって嗜好性が高いので喜ぶ猫も多いです。水分が多いので、下部尿路疾患や慢性腎不全の子たちにはよいでしょう。
デメリットとして、水分が多い分食べている割に太りにくいなどということがあります。総合栄養食が少ないので、購入されるときはよく確認をしてくださいね。
ドライタイプ

ドライタイプのキャットフードは水分の含有量が10%未満のキャットフードを指していて、別名「カリカリ」とも呼ばれています。
水分量が少ないので保存性が高いのがメリットです。また、総合栄養食が多いため、毎日与えるご飯として人気があります。

石井 万寿美
獣医師、作家
ドライフードは乾燥しているので、経済的で総合栄養食も多いですね。そして栄養のバランスもよいので体重も増えます。
デメリットは、水分がほとんどないので下部尿路疾患などになる子が多いこと。水分補給を忘れずに!
猫用プレミアムフードおすすめ32選|高品質なキャットフードを厳選してご紹介!
ここからは、獣医師の石井先生にお聞きした選び方を参考に、おすすめのプレミアムキャットフードをご紹介していきます。愛猫にピッタリな商品を選んでみてください。
グレインフリーは、イネ科の植物(穀物)が原材料に使われていない商品、グルテンフリーは、麦類全般が含まれていない商品のことです。
猫用プレミアムフードおすすめ6選【ウェットタイプ】
まずはウェットタイプのプレミアムキャットフードからご紹介します。上質な素材を使用したものを中心にセレクトしてみました。栄養バランスに考慮したラインナップです。
猫用プレミアムフードおすすめ26選【ドライタイプ】
続いては、ドライタイプのプレミアムキャットフードをご紹介します。オーガニック食材にこだわったものや無添加のものなどを中心にセレクトしました。毎日の主食としてぜひチェックしてみてください。
まとめ

今回はプレミアムキャットフードについて、選び方のポイントとおすすめ商品を、専門家である獣医師の石井先生の監修のもとご紹介しました。
プレミアムキャットフードだからといって、何も考えずに選んではいけないということがわかっていただけたのではないでしょうか。
この記事の選び方を参考にして、大事な猫ちゃんにピッタリのプレミアムキャットフードを見つけてくださいね。