国産のキャットフードには、いざというときの問い合わせがしやすい、日本の工場で生産されているものが多いため比較的安心して買えるというメリットがあります。
また、より安心できる商品を選びたい場合は、原材料の産地や仕入れ先がわかるものがおすすめです。
今回は、動物病院「まねき猫ホスピタル」の院長を務めながら、作家としても活躍している石井万寿美先生監修のもと、国産キャットフードの選び方やおすすめの商品をご紹介します。
猫に安全なキャットフードを買ってあげるための参考にしてみてください。
- 国産のキャットフードは安全?獣医師がメリット・デメリットを解説
- 海外産は法規制でしっかり管理
- 国産キャットフードの選び方|7つのポイント
- ①原材料の産地や仕入れ先がわかるものだと安心
- ②グレインフリーやグルテンフリーなど、種類を添加物をチェック
- ③安全性をチェックしておこう
- ④肉?魚?主原料は猫の好みを見極めて
- ⑤子猫、成猫、シニア猫などライフステージに合わせることも忘れずに!
- ⑥総合栄養食、一般食、食事療法食を知っておこう
- ⑦ウェットやドライなど種類で選ぶ
- ⑧その他チェックするポイント
- 国産キャットフードおすすめ22選
- 国産キャットフードおすすめ7選【ウェットタイプ】
- 国産キャットフードおすすめ15選【ドライタイプ】
- まとめ

国産のキャットフードは安全?獣医師がメリット・デメリットを解説

国産キャットフードとは、日本国内で生産されたキャットフードのことを指します。
実は、国産キャットフードにはメリットだけでなくデメリットもあります。獣医師の石井先生に詳しく聞いてみました。
- 日本の会社なので何かあった時に問い合わせやすい
- 生産する工場が日本にある
- 原材料が国産でないことが多い
- 日本は添加物の規制がそれほど厳しくない
日本では添加物の規制がそれほど厳しくないという点に驚いた方も多いのではないでしょうか。添加物が気になる方は、国産というだけではなく、無添加のキャットフードを選んだほうがより安全ですね。
たとえば、亜硝酸ナトリウムやフルビル酸カリウム、BHA・BHTなどが含まれているものには注意しましょう。
海外産は法規制でしっかり管理

実はキャットフードに関しては日本よりも海外のほうが法による規制がしっかりとされているのです。
日本ではつい最近までペットフードに関する法律さえありませんでした。それに比べ、アメリカやヨーロッパでは、キャットフードを製造する際の明確な基準があり、原材料から成分までを厳しくチェックしています。
国産以外で選ぶならどの国のキャットフードがよいのか、石井先生に伺いました。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫を飼うという歴史があるところがいいですね。アメリカ、イギリス、カナダなどの先進国のフードが比較的安全になります。
国産キャットフードの選び方|7つのポイント
それでもやっぱり国産のキャットフードがよいという方もいらっしゃるかと思います。専門家の石井先生に国産キャットフードの選び方についてアドバイスをもらいました。
①原材料の産地や仕入れ先がわかるものだと安心

「国産」とついているキャットフードは、生産を行っているのが日本国内であるだけで、原材料が必ずしも国産であるとは限らず、海外産であることもあります。どこから来たのかわからないご飯を猫ちゃんにあげるのは何となく不安ですよね。
原材料の産地を表示しなければならないという規則はありませんが、逆にしっかりと明記しているキャットフードは信頼性が高いともいえます。
原材料欄をしっかり見てみましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
国産のフードでも原材料が日本産とは限りません。原材料の産地や仕入先をきちんと公開されているフードがおすすめです。
②グレインフリーやグルテンフリーなど、種類を添加物をチェック

安全で安心なキャットフードであることを示すものとして、グレインフリー、グルテンフリー、無添加といった表示があります。このような表示があるものを選ぶとより安心です。
それぞれどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
穀物の使用が少ないグレインフリー
グレインフリーのキャットフードとはイネ科の植物(穀物)が原材料に使われていない、肉や魚など限られた原材料を使用しているキャットフードです。
イネ科といってもその種類は幅広く、自分で原材料表示を見ても判断が難しいかもしれません。「グレインフリー」と明記されているものを選ぶのが安心です。
また、グレインフリーだからといって安心せず、使われている肉や魚の品質にも注意を払いましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫は肉食なので、グレインフリーの食事がいいですね。
下痢気味の子の中には、グレインフリーにしただけで健康なウンチになる子もいます。
デメリットは、価格が高いということです。総合栄養食ではない場合もあるので、よく見て購入しましょうね。
低アレルゲンなグルテンフリー
グルテンフリーのキャットフードとは、小麦などに含まれるたんぱく質の一種であるグルテンを含まないキャットフードです。グルテンはアレルギーを起こしやすいため、グルテンフリーのキャットフードの方が安心であるといえます。
グルテンフリーとグレインフリーの違いは含まれない原材料の範囲です。
グルテンフリーは麦類のみが含まれていないことを指しますが、グレインフリーはより幅広くイネ科の植物全体が含まれていないことを意味します。
無添加のフードもチェック
前述したとおり、日本のキャットフードに対する法規制は緩いのが実情です。添加物が含まれていることもあり、国産だからといって安心だとは思わないほうがよいです。
無添加と書いてある商品であれば、危険な添加物は使われておらず安心です。また、冒頭でも述べましたが、亜硝酸ナトリウムやフルビル酸カリウム、BHA・BHTなどが含まれていないかどうかも注意しましょう。
石井先生によると無添加のメリットとデメリットはこのような点にあるそうです。

石井 万寿美
獣医師、作家
無添加のキャットフードとは、酸化防止剤としてローズヒップやビタミンC、Eが添加されるだけのものを指します。着色料なども含まれていません。
まったく何も添加物が含まれないというのは難しいですね。
メリットは、ほとんど添加物が含まれていないのでがんや肝臓病などになりにくいことです。
デメリットは、総合栄養食でない場合があるため注意が必要なことです。また、猫の嗜好性が低いこともあります。価格が高いことも多いです。
③安全性をチェックしておこう

安全なキャットフード選びにはほかにも大切なポイントがあります。石井先生のご意見も交えながら見ていきましょう。
賞味期限が長いキャットフードには注意
飼い主としては賞味期限が長いほうが何かと便利です。まとめ買いしておくことができ、頻繁に新しいものを買う必要がありません。
しかし、猫にとっては賞味期限が短いほうがメリットがあります。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫は、真性肉食の動物で、本来なら小動物を丸ごと(内臓も頭も骨も)食べます。しかし、フードとしてそういったものを用意するわけにはいきません。
新鮮なものを与えたいので、やはり賞味期限は短い方が体に負担がかからないですね。
フードを新鮮に保つ技術も進んでいますが、添加物を入れると代謝する肝臓に負担がかかります。なるべく賞味期限の短いものをおすすめします。
便利さをとるか、猫にとっての安全をとるかは難しいところですが、賞味期限が短い方が良いということは覚えておきたいですね。
愛猫の健康に影響するのでカロリーもチェック
人間だけではなく、猫にとっても肥満は健康の大敵です。太りすぎると脂肪肝や肝硬変の原因になったり、心臓に負担がかかったりします。
年齢や体格に合わせて適度なカロリーを与えることが重要です。

石井 万寿美
獣医師、作家
「カロリー」とは、語源はラテン語の「calor(熱)」からきています。1gの水を1℃上げるのに必要なエネルギー(熱量)が1calです。
カロリーが高いからといって栄養バランスが良いわけではありません。カロリーが高いと肥満になりやすいので、気をつけましょうね。栄養のバランスが大切です。
猫がおいしそうにごはんを食べる姿はかわいいので、ついついたくさんあげてしまう気持ちはわかります。でも、ここは猫のためだと思ってグッと我慢しましょう。
塩分を過剰に摂りすぎないように!
猫は水分をあまりとらず濃いおしっこをする動物です。そのため、塩分をとりすぎると腎臓に負担をかけてしまいます。
ご飯をあげるときは成分表示をチェックし、獣医師の先生がおすすめするキャットフードをあげるとよいでしょう。ご飯だけではなく、おやつに含まれる塩分にも要注意です。
④肉?魚?主原料は猫の好みを見極めて

日本では猫は魚を食べるものというイメージがありますが、世界では必ずしもそうとは限りません。魚を食べる習慣がない国では猫も肉食な傾向にあります。
猫があまりキャットフードを食べてくれないときは肉と魚を切り替えるのもおすすめです。また、肉も魚もいろいろな種類があるので、気に入ったものが見つかるまではいくつかのフードを与えてみるとよいかもしれません。
いずれにせよ大切なのは品質です。新鮮で安全な原材料を使っているものを選んであげましょう。
⑤子猫、成猫、シニア猫などライフステージに合わせることも忘れずに!

人間と同じく、猫も成長に伴って必要な栄養素は変化します。それぞれのライフステージに合わせたキャットフードをあげるようにしましょう。
それではどのようにライフステージを分ければよいでしょうか。石井先生は、大きく3つに分けられると説明しています。

石井 万寿美
獣医師、作家
子猫は1歳まで
成猫(アダルト猫)は1歳から7歳
シニア猫は7歳以上
子猫の時期には、成長のために多くのカロリーや栄養素が必要です。栄養満点のキャットフードをたっぷりあげるのがポイントです。
成猫になったらキャットフードをあげすぎず、太りすぎに注意しながら適切な量を与えるよう心がけることが大切です。
シニア猫になれば、さらに注意が必要になります。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫は腎臓が弱く、シニアになると高タンパク質では慢性腎不全になりやすいため、年齢に応じたタンパク質が必要ですね。
それぞれのライフステージに合わせ、適切な食事を心がけていきましょう。
⑥総合栄養食、一般食、食事療法食を知っておこう
キャットフードには大きく分けて総合栄養食、一般食、食事療法食の3種類が存在します。それぞれに特徴が異なります。その違いを見ていきましょう。

総合栄養食
総合栄養食とは、猫が生きていくうえで必要な栄養素をすべて含んだキャットフードのことです。総合栄養食と新鮮な水があれば猫は健康を維持することができます。
健康に問題がなければ、主食として与えるものはできるだけ総合栄養食にしましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
総合栄養食のメリットは、これと水だけ給与するとほかに何も与えなくても健康を維持できることです。
デメリットは、嗜好性が高いとは言いきれないものもあります。健康面だけを考えて、猫が食べてくれない場合もあります。猫が喜んで食べてくれる工夫をしてくださいね。
一般食
一般食は必要な栄養素がすべて含まれていないキャットフードのことです。いわば、猫のおやつです。

石井 万寿美
獣医師、作家
一般食は、総合栄養食に比べて嗜好性が高いです。また、種類も豊富です。
その反面、一般食だけを食べていると、栄養バランスが崩れたりする場合もあります。一般食を食べさせている場合は、ときどき血液検査をして栄養のバランスを見てあげましょうね。
嗜好性が高く、猫がたくさん食べてくれるのはよいのですが、あげすぎると栄養バランスが崩れる点に注意が必要です。
総合栄養食のトッピングにしたり、たまにあげるご褒美としてあげるとよいですね。
食事療法食
食事療法(medical diet)とは、食事の量やバランス、また成分を調節することによって病気の療養をしたり、病気の進行を遅くしたりすることです。
食事療法食は、そのための食事を食事療法食といいます。

石井 万寿美
獣医師、作家
猫の病気は、糖尿病、腎臓病、下部尿路疾患、肥満などが一般的です。
食事療法食を食べていると病気の進行が遅くなったり、改善されたりします。
デメリットには、嗜好性があまり高くないことと、値段が高いことが挙げられます。
注意点は、飼い主の自己判断で与えてはいけないということです。病気のために特別な栄養素の成分になっており、問題のない猫にとっては逆に害になることもあるかもしれません。
猫の体調で気になるところがあれば、療法食を与える前にまずは獣医師に相談するようにしましょう。
⑦ウェットやドライなど種類で選ぶ
キャットフードには湿り気のあるウェットタイプと乾燥したドライタイプが存在します。どのように使い分ければいいのか石井先生のご意見も交えながら紹介します。
ウェットタイプ

水分の多いキャットフードがウェットタイプです。フレークやパテ、ゼリー、スープなどさまざまな形態のものが存在します。

石井 万寿美
獣医師、作家
ウェットフードは、猫にとって嗜好性が高いので、喜ぶ子も多いです。水分が多いので、下部尿路疾患や慢性腎不全の子たちにもいいですね。
デメリットとして、水分が多い分食べている割に太りにくいなどということがあります。総合栄養食が少ないので、購入されるときはよく確認をしてくださいね。
嗜好性の高さゆえに食べ過ぎてしまうこともあります。特に一般食を食べすぎると栄養バランスの偏りにつながります。注意しましょう。
ドライタイプ

水分量が少なく、乾燥しているのがドライタイプのキャットフードで、いわゆるカリカリです。
噛むことであごを鍛えたり、歯の表面について歯石を落とす効果もあります。塩分が多く含まれているものもありますので、塩分の過剰摂取には注意しましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
ドライフードは乾燥しているので、経済的で総合栄養食も多いですね。そして栄養のバランスもいいので体重も増えます。
デメリットは、水分がほとんどないので下部尿路疾患などになる子が多いことです。水分補給を忘れずにさせましょう。
⑧その他チェックするポイント
ここまでご紹介したポイントに加え、オーガニックキャットフードとプレミアムフードについても理解しておくと良いでしょう。
オーガニックキャットフードも人気
キャットフードの中にはオーガニックキャットフードというものも存在します。

石井 万寿美
獣医師、作家
オーガニックとは、有機栽培、有機農業、またはその農産物、広く畜産品を含めた生産物のことです。
オーガニックの認定基準は生産される国によって異なりますが、基準をクリアしたものにはマークがあります。
つまり、有機栽培で育てられた原材料を使用すれば、農薬や化学肥料をたくさん使用していないため、より安心ということです。価格は高くなる傾向にありますが、大切な猫のために選ぶ方も多く、人気があります。
高品質なプレミアムフードというものもある
プレミアムフードとは、品質にこだわって作られたキャットフードのことです。添加物の量、原料や製造工程の安全基準など、さまざまな観点でこだわったキャットフードが存在します。
しかし、ペットフード業界においてプレミアムフードと表示するための基準はありません。そのため、プレミアムフードと書かれているからといって無条件によいキャットフードということではないのです。

石井 万寿美
獣医師、作家
プレミアムフードとはイメージだけで、本来キャットフードにおいて明確な規定がありません。
三省堂の「大辞林」によると、プレミアムの意味は…「他の物より価値があること。高級。上等。高価。」となっています。
おそらく高級という意味で使われているのでしょうが、それは主観的なものなので、飼い主さんは、「プレミアム」というワードに惑わされないようにしてくださいね。
国産キャットフードおすすめ22選
ここからは、おすすめの国産キャットフードをご紹介します。ここまでの選び方のポイントを参考にしながら大切な猫にピッタリのキャットフードを見つけてみてくださいね。
グレインフリーは、イネ科の植物(穀物)が原材料に使われていない商品、グルテンフリーは、麦類全般が含まれていない商品のことです。
国産キャットフードおすすめ7選【ウェットタイプ】
まずは水分量の多いウェットタイプの国産キャットフードからご紹介します。
国産キャットフードおすすめ15選【ドライタイプ】
続いて、ドライタイプの国産キャットフードをご紹介します。
まとめ

国産キャットフードの選び方とおすすめの商品を、獣医師の石井万寿美先生のアドバイスを参考にご紹介しました。
国産だとしても、添加物や賞味期限など、愛猫の安全な食事のためにチェックすべきポイントはたくさんあります。
この記事を参考に、キャットフードを探してみてくださいね。