ドライタイプのキャットフードは、「カリカリ」とも呼ばれ、猫の毎日のごはんとして選ばれています。愛猫の健康のために安心・安全なものを選ぶことが重要です。
今回は、獣医師の石井万寿美さんにドライタイプのキャットフードについて教えていただきました。基本となる選び方から、見落としがちな注意点など、この記事を是非参考にしてみてください。
さらに、ドライタイプを食べてくれないときの対応や、劣化を防ぐ保存方法も合わせてご紹介しています。ベテラン飼い主さんも必見です。
- ドライタイプのキャットフードの選び方を獣医師・石井先生が解説
- 小粒タイプや柔らかいものなど形状や食感で選ぶ
- 賞味期限が長くないなど安全性が高いものを選ぶ
- 肉や魚など猫の好みで選ぶ
- グレイン・グルテンフリーか、無添加かなど成分から選ぶ
- 子猫・成猫・シニア猫など猫のライフステージで選ぶ
- 総合栄養食、一般食、食事療法食など、猫の体調や目的によって選ぶ
- ドライタイプのキャットフードおすすめ42選
- 【総合栄養食】ドライタイプのキャットフードおすすめ31選
- 【一般食】ドライタイプのキャットフードおすすめ4選
- 【食事療法食】ドライタイプのキャットフードおすすめ7選
- ドライタイプの注意点!含まれている塩分は大丈夫?
- ドライタイプを食べてくれない!そんな時は?
- まとめ

ドライタイプのキャットフードの選び方を獣医師・石井先生が解説

ドライタイプは通称「カリカリ」とも呼ばれており、水分量が少なくて保存性が高く、毎日のご飯として選ばれやすいものです。
ドライタイプのキャットフードは、さまざまなメーカーから販売されているため種類も特徴も豊富です。飼い主さんだけでは判断できないポイントもあり、迷われる方も多いのではないでしょうか。
動物に関する著作も多く執筆している、獣医師の石井万寿美先生に選び方を教えていただいたので、ぜひ参考にして選んでみてくださいね。
小粒タイプや柔らかいものなど形状や食感で選ぶ

「カリカリ」とも呼ばれることから硬めの食感を連想しやすいドライタイプのキャットフードですが、なかには柔らかめの商品もあります。
香りや食感がよいため、食の細い猫や噛む力の衰えた猫でもよく食べてくれる傾向があります。食欲がないときに取り入れるのもおすすめです。
小粒タイプのキャットフードは、子猫や噛む力があまりない猫に適しています。カリカリを噛み砕くことによって顎を鍛えたり、歯についた歯石を落とすという役割も担っています。
大粒のキャットフードの吐き戻しが多い場合、ぬるま湯でふやかしてからあげたりと工夫してみましょう。それでも改善されない場合は獣医師と相談しつつ切り替えるとよいでしょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
一般的なドライフードは、水分の含有量が10%未満です。それ以外に、セミモイストタイプ、ソフトドライタイプがあります。
このふたつは、水分量が、25-30%あります。セミモイストタイプは、押し出し機で作られて、発泡されていないです。
ソフトタイプは、加熱発泡されています。どちらもドライフードより、食感がよくて嗜好性があがります。値段は少し高くなります。
今回セミモイストタイプとソフトタイプも調査しましたが、一般的なドライタイプと比べて種類や数がとても少ないことが判明しました。
どうしても普通のドライタイプ、「カリカリ」を食べてくれない、歯が弱いシニア猫や子猫に「カリカリ」を与えたいという場合は、獣医師の先生などに相談しながらその子に合うキャットフードを探していきましょう。
賞味期限が長くないなど安全性が高いものを選ぶ

ドライタイプのキャットフードは、開けてしまえばすぐに使い切らなければならないウェットタイプのキャットフードと比べて、常温保存ができるのがメリットです。しかし開封後は空気に触れることにより、酸化していきます。
香りや味が劣化するため、猫によっては開けてしばらくすると急に食べてくれなくなることもあります。最後までおいしく食べきってもらえないことに悩んでいる場合、小分けタイプや小容量タイプがおすすめです。
また、ドライタイプは保存性を高めるために多量の添加物が入っている場合や、賞味期限がやたらと長い場合があり、体への影響が心配になります。なるべく賞味期限の短い方が体に負担がかかりません。
また、毎日食べるものだからカロリーにも気をつけましょう。カロリー表記をチェックして、食べ具合を確認しながら、くれぐれもご飯のあげすぎには注意しましょう。
パッケージ開封後の保管方法のコツ
主に食品が劣化する原因となるのは、光・空気・温度・湿気。開封後もできるだけ長くおいしい状態を保ちたいなら、袋のままで保管せず密閉できる容器に移し替えるとよいでしょう。
真空状態にできる容器を使って小分けにするのもおすすめです。夏場以外も、できるだけ温度が低く光の当たらない場所で保管しましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
密封して、暗くてあまり室温があがらない場所に保管してください。可能であれば、開封したら、密封して冷蔵庫に入れてください。
大袋で購入された場合は、小袋に分けて、真空パックにして上記のようなところに保管くださいね。
肉や魚など猫の好みで選ぶ

猫は魚が好き!なんとなく、そう思って魚を主原料にしたものばかりを与えていませんか。
実は猫の食の好みはいろいろで、魚好きの猫も、肉好きの猫もいます。日本にはない血統の、海外が原産国の猫は肉が好きだったりして、必ずしも猫に魚というのは決まっていないのです。
海に囲まれた島国の日本では、昔から猫に自分たちのご飯と同じように魚を与えてきたから、魚が好きと考えているのでしょう。
あなたの猫が本当に好きな食事はなんでしょう。猫はなかなか答えを出してくれませんが、様々なご飯を試してみるのも新たな発見があり、楽しいかもしれません。
グレイン・グルテンフリーか、無添加かなど成分から選ぶ

肉食の猫にとって、穀物の消化は体に負担がかかることも。ドライタイプのキャットフードは毎日あげるものなので、猫にとって健康をサポートしてくれるものを選びましょう。
グレインフリーは、穀物(小麦、とうもろこし、米)を原材料に含まないキャットフードです。特に小麦アレルギーを持っている猫は、成分表や原材料表記をしっかりチェックするなど、注意が必要です。
よく似た言葉のグルテンフリーとは、小麦に含まれるタンパク質の一種が含まれていないものを指します。
こちらも小麦を消化するのが苦手な猫には負担になる場合があるので、下痢をよくする猫はグレイン・グルテンフリーのものに切り替えてみましょう。
ドライタイプには、安価で大量に生産するためにグレイン(穀物)などでかさ増しをしているものが多くありました。グレイン・グルテンフリーのドライタイプはまだまだ多いとは言えません。
グレイン・グルテンが入っていないものを探す場合は、成分表をよく確認する必要があります。
人工香料や保存料、添加物もしっかりチェックしよう
添加物は基本的に体の負担になるのは、猫も同じです。新鮮な生肉を食べていた野生の頃と比べれば、今は添加物が入っていないものを探すほうが難しいくらいです。
完全な無添加というキャットフードは難しくても、なるべく保存料や人工的な香料の入っていない、ナチュラルなキャットフードを探しましょう。
子猫・成猫・シニア猫など猫のライフステージで選ぶ

子猫(誕生から1歳まで)、成猫(1歳から7歳)、シニア猫(7歳以上)と、猫にもそれぞれライフステージが分かれています。
シニア猫が食べるものは子猫には適していないように、年齢に応じたキャットフードを用意する必要があります。
1歳までの子猫の時期には、成猫よりもカロリーを必要としています。さらに成長するための栄養素がたくさん必要だったり、骨を強くするカルシウムやタンパク質も欠かせません。
1歳から7歳までの成猫期は運動量や好き嫌いを見極め、与えすぎず、栄養が偏らないように注意しましょう。
7歳以上のシニア期は運動量も減り、太りやすいのでカロリー控えめにしましょう。歯が弱ってくるので、ドライタイプをふやかしたりするなど工夫が必要になってきます。
もし多頭飼いをしていて猫の年齢がバラバラな場合、「全年齢」を対象としたキャットフードだと同じものを用意すればよいので、とても便利です。

石井 万寿美
獣医師、作家
シニアになると高タンパクでは慢性腎不全になりやすいため、年齢に応じたタンパク質が必要ですね。
総合栄養食、一般食、食事療法食など、猫の体調や目的によって選ぶ

すベてのキャットフードは、「総合栄養食・一般食・食事療法食」の3つに分けることができます。
それぞれ使用する目的が違うので、猫の体調や食べさせるシーンによって使いわけましょう。
総合栄養食
総合栄養食とは、水と一緒に与えるだけで、猫が生きていくために必要な栄養素が全て入っているキャットフードのことです。
ドライタイプは総合栄養食が多く、一般食はあまりありません。
また、ドライタイプの総合栄養食は毎日食べるご飯なので、年齢によるキャットフードの選び方も大切になってきます。
一般食
一般食とは、おやつやおかずのような役割をしています。猫が喜ぶ味や香りのものが多く、食いつきがいいですが、あげすぎると栄養バランスが崩れることもありますので注意が必要です。
食事療法食
食事療法食とは、特定の病気の進行を遅らせる、あるいは改善したり、療養を目的として作られたキャットフードです。病気や状態によって病院などで処方・処方されるので、高齢や病気などが心配な場合はまずは獣医師に相談しましょう。
ドライタイプのキャットフードおすすめ42選
ここからは、獣医師の石井万寿美さんの選び方を参考に、編集部おすすめのドライタイプのキャットフードを厳選してご紹介します。
【総合栄養食】ドライタイプのキャットフードおすすめ31選
まずは、1食ぶんの栄養がしっかり入った総合栄養食を集めました。毎日食べるカリカリだから、毎日食べる「カリカリ」だから、猫が喜ぶものをあげたいと思いませんか。ぜひ参考にしてみてください。
【一般食】ドライタイプのキャットフードおすすめ4選
一般食でのドライタイプのキャットフードのご紹介です。一般食はおかずやおやつに該当し、総合栄養食や食事療法食ばかりのドライタイプではあまり見かけない、珍しい種類になります。
総合栄養食のカリカリなどとうまく組み合わせて、グルメな猫を満足させましょう。
【食事療法食】ドライタイプのキャットフードおすすめ7選
最後は、食事療法食としてのドライタイプのキャットフードのご紹介です。人間と同様、猫も年老いていき、病気や体型の変化を経ていきます。
それらと向き合い、食事で上手に持病と付き合いながら、いつまでも健康・元気でいてほしいものです。
なお、獣医師の診断・指導のもと食べさせるようにしてください。
ドライタイプの注意点!含まれている塩分は大丈夫?

やはり飼い主さんにとって気になるのは、愛猫の健康管理ですよね。ドライタイプのキャットフードには、保存のためや食いつきのためなど、さまざまな理由から塩が入っています。
塩分の多い食事は、高血圧や腎臓病のリスクを高めることがあります。猫の1日あたりの必要塩分量は食塩だとおよそ3g(ナトリウムだと1.2g)だと言われています。
あげる回数や猫の体型、消費カロリーにもよりますが、成分表示などをチェックして、あなたの猫が1日に必要な塩分量をオーバーしていないか確認しておきましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
ドライフードは乾燥しているので、経済的で総合栄養食も多いですね。栄養のバランスも良いので体重も増えます。
よく食べるからといって、塩分が多いものだと腎臓病になったりします。
ドライタイプは保存のために水分を抜いてあるので、「カリカリ」だけを食べるのでは水分が足りません。
ただ、元々砂漠で生きてきた猫は水を飲みたがらなかったり、水を飲むのが下手な猫も。いつでも新鮮な水を用意して、きちんと減っているかどうかチェックし、脱水状態にならないよう気をつけてあげましょう。

石井 万寿美
獣医師、作家
ドライタイプのデメリットは、水分がほとんどないので下部尿路疾患などになる子が多いこと。水分補給を忘れずに!
一方、猫にたっぷりとあげたいのが「たんぱく質」です。猫は肉食動物なので、肉や魚が主食です。かさ増しのために穀物が多く含まれているドライフードを食べると、お腹を壊すこともありますので注意が必要です。

石井 万寿美
獣医師、作家
タンパク質もその子に年齢と病気を持っているか否かで必要量が違ってきますので、その点はかかりつけ医にご相談ください。
ドライタイプを食べてくれない!そんな時は?

グルメで偏食な子が多いといわれている猫ですが、毎日同じ「カリカリ」だと、ある日突然食べてくれなくなった。というのは、飼い主さん共通の悩みかもしれません。
そんなときは、猫が好みやすく柔らかいウェットタイプを混ぜてあげると食べてくれるようになったりします。
そして一般的に、シニアの猫は歯が弱くなったり口内に疾患を持ちやすくなります。キャットフードがうまく食べられないことも多いため、柔らかめのごはんをあげるのがおすすめです。
選び方で紹介したセミモイスト・ソフトドライタイプを中心に選んだり、水やウェットタイプでふやかして与えてみると食いつきがよくなったりします。

石井 万寿美
獣医師、作家
別のフードを混ぜると猫がよく食べてくれる場合が多いのですが、カロリーや栄養素の計算がわかりにくくなります。もし、下痢や嘔吐をした場合は、どのフードが原因かわかりにくいのがデメリットといえます。
まとめ
今回は、獣医師の石井万寿美さんに猫の健康を守るために大切なドライフードの選び方を教えていただきました。
ドライタイプのキャットフードのなかには、高齢の猫や子猫が食べやすい小粒の商品や、柔らかめの商品もあります。ご紹介した選び方を参考に、猫の好みに合うキャットフードを探してみてください。