上り坂やお子さまを乗せながらの走行に強い電動自転車は、かつては機能面が重視されていましたが、今や各メーカーがデザイン面にもこだわりを見せています。
電動自転車は高価なため、購入には検討を重ねて吟味したいものですよね。そこで今回は、サイクルジャーナリストの松尾 修作さんに、選び方のポイントを伺いました。
ぜひ、あなたの用途にピッタリの1台を見つける参考にしてみてください。
- 電動自転車とは?
- 電動自転車の選び方
- 用途で選ぶ|通勤・通学や子ども乗せなど
- バッテリーで選ぶ|大きさ・電池寿命
- タイヤで選ぶ|走行環境に合わせて
- ギアシフト段数で選ぶ|電動アシストをオフにすると差が出る
- 電動自転車の種類・タイプ
- シティサイクル
- 子ども乗せ
- ミニベロ型
- e-BIKE
- 3輪車
- 電動自転車のおすすめメーカー
- パナソニック(Panasonic)
- ヤマハ(YAMAHA)
- ブリヂストン(BRIDGESTONE)
- その他人気海外メーカー
- 電動自転車おすすめ31選
- シティサイクルタイプ電動自転車おすすめ15選【通勤・ショッピング向け】
- チャイルドシート搭載おすすめ電動自転車2選【子ども乗せ向け】
- ミニベロタイプ電動自転車おすすめ6選【スポーツ・通勤向け】
- ロード・マウンテン・クロスe-BIKEの電動自転車おすすめ8選【かっこいいデザイン】
- 3輪車タイプ電動自転車おすすめ5選【高齢者向け】
- 電動自転車を購入前にチェックしたいポイント
- 盗難補償制度の有無を確認
- 不安な方は試乗して乗り心地を確認
- おトクに買えるかも?助成金制度を確認
- まとめ

電動自転車とは?

電動自転車は、正しくは「電動アシスト自転車」といいます。モーターの力で走行をアシストする自転車のことを指し、運転者がペダルをこぐことが前提です。
モーターだけで走行できる車体は電動二輪車といい、日本では運転するために運転免許証が必要になりますが、電動アシスト自転車(以下、電動自転車)は普通の自転車と同じ扱いとなります。 それでも走行能力はガラリと変わります。
ラクな自転車ライフにしたい方は、ご自身の用途を踏まえて最適な相棒を選びましょう。
電動自転車の選び方

松尾 修作
サイクルジャーナリスト
電動アシスト自転車は、いわゆる「ママチャリ」タイプの軽快車に加えてスポーツタイプも増えてきていますね。
両モデルともバッテリーの容量や寿命はもちろん、アシストに見合った走行性能があると安全に快適に走行できるでしょう。
バッテリーの交換など、メーカーのアフターケアも含めたチョイスをおすすめします。
用途で選ぶ|通勤・通学や子ども乗せなど

まずは用途を考えてみましょう。用途によってタイプが異なり、バッテリー容量、アシスト走行距離、タイヤサイズ、車体重量、ギアシフト段数が変わってきます。
- シティサイクル(通勤・通学向け)
- 子ども乗せ(標準でフロントかリアにチャイルドシート搭載)
- ミニベロ型(20インチの小径)
- e-BIKE(マウンテンバイク型やクロスバイク型などスポーツ向け)
- 3輪車(主にシニア向け)
といったタイプがあります。
バッテリーで選ぶ|大きさ・電池寿命

バッテリー容量が増えるとアシスト走行可能距離は長くなりますが、価格も上がってきます。
用途以上のモデルを選ぶと無駄に電気代がかかってしまいますし、坂道が多いのにパワー不足のモデルを選んでしまうことも避けたいものです。
現在では長持ちかつ小型化に適したリチウムイオン充電池がほとんどのモデルで採用されています。6.2Ah~16Ahが一般的で、中には20Ah搭載車もあります(走行目安:16.0Ahで一回の充電につき約65km前後アシスト走行可)。
気になる充電回数については、大手メーカーは700~900回と謳っています。200回の差は走行環境やメンテナンス状態で変わってくるのでしょう。
タイヤで選ぶ|走行環境に合わせて

現在は20インチ~26インチのタイヤが主流サイズです。
タイヤサイズが大きいほどスピードを出しやすく、長時間ライドが楽になります。ただしサドルの位置が高くなるため、適正身長も高くなります。
逆にタイヤが小さければ低重心で、直進時に安定します。この構造がもっとも有効なのが子ども乗せタイプです。チャイルドシートの位置が低くなるので乗せ降ろしがラクになります。
タイヤの太さも走行時に影響し、太くなるほど振動を吸収するクッション性が高まります。乗り心地がよくなるということです。
ただしあまり太いと駐輪場の車輪止めに適さない場合があるため、購入前に必ず確認しましょう。
ギアシフト段数で選ぶ|電動アシストをオフにすると差が出る

電動アシストをオフにした時に差が出るのがギアシフト段数です。シティサイクルタイプでは内装3が主流です。
スポーツタイプになると外装7~22段まで増え、近年はロードバイクやクロスバイクとしても活躍するモデルがラインナップされています。
電動自転車の種類・タイプ
続いて、電動自転車の種類やタイプについて解説します。購入前にしっかりと把握しておきましょう。
シティサイクル
通勤・通学、ショッピングなどの短・中距離向けです。
走行環境によって「軽快さ優先」か「坂道に対するパワフルさ優先」か分かれてきますが、それぞれに応じた幅広いラインナップが市場に出ています。
軽快さを求めるなら車体のサイズや重さを、パワフルさを求めるならバッテリー容量をチェックするとよいでしょう。デザインやカラー展開も豊富なのがこのタイプです。
また、オプションでチャイルドシートを搭載できるものが多くあります。
子ども乗せ
チャイルドシートの位置(前後)によって適正条件が異なります。
- 1歳(12ヶ月)以上~4歳(48ヶ月)未満まで
- 身長100cm以下/体重15kg以下
- 1歳(12ヶ月)以上~6歳(72ヶ月未満まで
- 身長115cm以下/体重22kg以下
この条件を踏まえたうえで、安全・安定・低重心なモデルがおすすめです。
また機能面でもハンドルロックや急速充電機能などがあれば便利ですので、チェックしてみてください。
子ども乗せタイプにはおしゃれで多色展開のシリーズが多く、色選びに迷ってしまうかもしれません。
ミニベロ型

小径車とも呼ばれるこのタイプは、タイヤサイズが20型のモデルが主流です(一般的なママチャリだと24~26型が主流)。軽量に加え折りたたみ型も多く、省スペースで格納できるのが特長。
バッテリー容量については8.0Ah以下のタイプが主流でしたが、最近は12Ah以上の大きいタイプがラインナップされ、長距離走行が可能になりました。
ギアシフト段階が多めについたスポーツ型モデルも多く、普段使いに加えてロードの高低差も乗りこなしたい方におすすめです。
とにかくおしゃれな一台が欲しい!という方にもピッタリなタイプです。
e-BIKE
2017年以降、国産メーカーや人気海外メーカーの日本仕様車参入などで盛り上がりを見せているタイプです。
細かなギアシフト段階による快適でパワフルなアシスト性能があるため、スポーツバイクに興味があっても体力にあまり自信がないという方にもおすすめです。
ミニベロ型から本格的MTB型までがラインナップされ、1充電で走行距離200km超えのモデルや荒いオフロードでもぐんぐん走れるパワー特化モデルも登場しています。
3輪車
3輪ならではの安定性で転倒やふらつきを防止するモデルです。
後2輪型と前2輪型(スイング式、固定式)があり、左右のふらつきをより軽減させたい方は前2輪固定式を選ぶとよいでしょう。
前後(特に後ろ)には大きなカゴがついている商品が多いため、大量の買い物にも最適です(デフォルトで前後ともにカゴがついているかは車種によりますのでご確認を)。
シニア向けだけではなく、力に自信のないママさん向けの子ども乗せタイプとしてもおすすめです。
電動自転車のおすすめメーカー
続いて、電動自転車のおすすめメーカーについてご紹介します。
パナソニック(Panasonic)
大きなシェアを占めるメーカーのひとつで、子ども乗せからe-BIKEまでラインナップがとても豊富です。また、デザイン面でも各シリーズのフレームとカラーを多数展開しています。
他社の同タイプのバッテリーと比べると容量が若干大きく航続距離が長めという特徴があります。
大手メーカーなので購入後のメンテナンス・修理サポートについても安心です。
ヤマハ(YAMAHA)
電動アシスト自転車を初めてリリースしたメーカーです。
トリプルセンサー搭載により、快適でパワフルなアシスト性能を誇ります。
ブリヂストンとはOEM関係にあり、ヤマハがユニットを提供し、ブリヂストンが車体を提供したモデルが双方から出ています。カラー展開が異なるため、選ぶポイントになるかもしれません。
ただし最近はそれぞれオリジナルのモデルも出しています。
ブリヂストン(BRIDGESTONE)
日本のロード環境に合わせた設計にこだわり、基本性能が高いうえに両輪駆動(デュアルドライブ)モデルのラインナップがあります。
中央にモーターを搭載しているモデルはチェーンを介してアシスト力を伝えますが、そのためにチェーンから後輪への負荷がかかり故障の原因となりえます。そこでモーターを前輪に搭載し、負荷を減らしているのです。
実はチェーン自体が存在せず、代わりにオイルフリーのカーボン製ベルトドライブが採用されています。
その他人気海外メーカー
ドイツのボッシュ、イタリアのビアンキ、中国のチノーバなどが人気です。特にe-BIKEにおいては、海外モデルが日本仕様(日本の道路交通法に適合したモデル)として導入されるようになり、スポーツタイプの人気と相まって大いに盛り上がりを見せています。
また、サンスター技研製ユニットを採用するメーカー(ルイガノ、GIC、フランスベッド)であれば取扱店が多いため、メンテナンスも大きな不安はありません。特にデザインを重視している方は、日本製にはない魅力の海外モデルを見つけることができるかもしれません。
電動自転車おすすめ31選
「坂道が多いからパワフルな一台を」「子育てを考えて将来三人乗りに拡張できるものが欲しい」「街乗りをスポーティに」など用途は決まりましたか?
ここからは、編集部が厳選したおすすめの電動自転車を、種類・タイプ別にご紹介します。
シティサイクルタイプ電動自転車おすすめ15選【通勤・ショッピング向け】
- 通勤・通学、ショッピングなどの短・中距離向け
- パワフルさを求めるならバッテリー容量を、軽快さを求めるならミニベロ型をチェック
- ほとんどの車種はオプションでチャイルドシート装着可能
以上のポイントを踏まえて、商品をみていきましょう。
チャイルドシート搭載おすすめ電動自転車2選【子ども乗せ向け】
- チャイルドシートの位置(前後)によって適正条件が異なる
- 安全・安定・低重心が求められる
- おしゃれで多色展開のシリーズが多い
子ども乗せ向けの電動自転車には以下ような特徴があります。では商品をみていきましょう。
ミニベロタイプ電動自転車おすすめ6選【スポーツ・通勤向け】
- 小径でも12Ah以上の大きいバッテリー容量タイプを選べば長距離走行が可能に
- 軽量に加え折りたたみ型も多く、室内や省スペースに格納できる
- おしゃれなモデルやギア段数の多いスポーツ型も
以上のポイントを頭に入れながら、スポーツや通勤向けの電動自転車をみていきましょう。
ロード・マウンテン・クロスe-BIKEの電動自転車おすすめ8選【かっこいいデザイン】
- 2017年以降、国産メーカーや人気海外メーカーの日本仕様車参入などで注目度アップ
- スポーツ向けミニベロ型から本格的MTB型までのラインナップ
- 細かなギアシフト段階による快適でパワフルなアシスト性能は体力にあまり自信のない方にもおすすめ
- 1回の充電で走行距離200km超えのモデルや荒いオフロードでもぐんぐん走れるパワーに特化したモデルも登場
主な特徴がわかったところで、ロード・マウンテン・クロスe-BIKEをみていきましょう。
3輪車タイプ電動自転車おすすめ5選【高齢者向け】
- 3輪ならではの安定性で転倒やふらつきを防止
- 後2輪型と前2輪型(スイング式、固定式)がある
- 前後(特に後ろ)の大きなカゴで大量の買い物に最適
- シニア向けだけではなく、力に自信のないママさん向けの子ども乗せにも
以上のポイントを踏まえ、おすすめの電動自転車をみていきましょう。
電動自転車を購入前にチェックしたいポイント
では、最後に電動自転車を購入する前に合わせてチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
盗難補償制度の有無を確認
保証・保障がどれだけ付いているか、防犯登録(義務)はサービスなのかなども購入前に必ずチェックしておきましょう。
安い買い物ではありませんので、盗難補償などは長く付けておきたいものです。
また、有名メーカーであっても初期不良などに遭遇することがあります。すぐに対応してもらえるかチェックしてください。
不安な方は試乗して乗り心地を確認
お手頃プライスモデルが増えてきたとはいえ、電動自転車は決して安くはありません。
長く付き合える相棒を迎えるためにも、試乗してみることが一番です。大手メーカーサイトには試乗会情報や試乗可能店舗情報が掲載されているので、ぜひ購入前に実際に乗ってみてください。
おトクに買えるかも?助成金制度を確認
各自治体によりますが、助成金制度を利用して安く購入できるケースがあります。多く見られる条件として、
- 市内在住、市民税の滞納なし、子ども養育中、防犯登録車体、講習会受講
などがあります。
補助は購入金額の1/4~1/2負担し、上限1万円~5万円とさまざまです。
年度ごとに募集枠が決まっているところもあるため、所属する自治体サイトを確認してみましょう。
まとめ

今回の記事の要点は次のとおりです。
- まずは用途を設定し、最適なバッテリー容量とアシスト機能を持つ1台を探す
- 子ども乗せはカスタマイズすればシティサイクルとしても活躍(逆もまた然り)
- 近頃流行のスポーツタイプは街乗りから通勤、山登りまで楽しめる
- 購入後のメンテナンスや消耗品の扱いも重要なポイント
サイクルジャーナリストの松尾さんによる選び方のポイントや、おすすめの電動自転車を参考に、ぜひ最適な1台を見つけてみてください。